人非人ひとでなし)” の例文
「家に伝わる甲賀流のあまたの秘書を、そッくり、あの人非人ひとでなしの旅川周馬へ、残してゆくのが、お父上様にすまぬと思うて……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『あの人非人ひとでなしを引っ張って來る試み』をもう一度やって御覽なさいと言いだして、どうしてもきかなかった。
「ム、くやしいか。人間ならくってかかんな、対手あいてになろう。犬、畜生、人非人ひとでなし四這よつばいになれ、尻尾をれ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俺をなぐって気が済むなら俺をなぐれ……だが伍長、怨むなら、あんな無恥な野蛮な習慣をいいことにして、人間をしぼって金を儲ける人非人ひとでなしを怨め……取払ったのは当然だ。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
わかつたか馬鹿野郎ばかやらう!』と、イワン、デミトリチはさけんで、こぶしかためてたゝく。『やいけろ! けろ! けんか! 開けんなら打破ぶちこはすぞ! 人非人ひとでなし! 野獸けだもの!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「お爺ちゃんはネ、いつもあたいに、お前の母ちゃんは人非人ひとでなしだって言っていたよ。だからあたし、ちいちゃいときには、あたいの母ちゃんは人間じゃないんだと思っていた」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
勿体もったいない、みなさんはなにも知らないから、私のことを褒めたりするんです、本当のことを知ったら、私がどんな人非人ひとでなしかということを知ったら、みんなは睡もひっかけやしないでしょう
「あなたは人非人ひとでなしです」と、リザヴェッタはついに叫んだ。
「ええおい。世間の奴らは、よく俺たちを鼻つまみにしやがるが、いったい、俺たちを人非人ひとでなしみたいにいう奴らの方は、どうなんだと訊きてえんだ」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わかったか馬鹿野郎ばかやろう!』と、イワン、デミトリチはさけんで、こぶしかためてたたく。『やいけろ! けろ! けんか! 開けんなら打破ぶちこわすぞ! 人非人ひとでなし! 野獣けだもの!』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「まあ! お母さんたら、情けない! 今になってそんな人非人ひとでなしのことが——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「いえ、お放しなさいまし、この大それた人非人ひとでなしかしちゃあおかれません。」「そうわずにさ、口でいっても解るではないかねえ。ようさ、私に預けておくれってば。」と身をたてにして
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おねがいです! 一生のおねがいです! ……もしッ、聞えませんか、ええ沢庵さんの人非人ひとでなし……鬼ッ……あなたには血がかよっていないのですか」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それごらんな! おまえはこのおっ母さんを裏切って、あの人非人ひとでなしの父親に付いたのだろう。そして、甘いことばに乗って、わたしを捕まえに来たにちがいない。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「不義、破廉恥はれんち、云いようもなき人非人ひとでなしの袁紹、いずこにあるぞ。——恥を知らばでよ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『やあーい、交際い知らずの、人非人ひとでなしの、我利がり我利野郎の家へ、天王様を振り込め』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おだまり、千絵はまだ、そなたのような人非人ひとでなしを、良人おっととゆるした覚えはない」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それみい、賞められれば、そちは欣しいだろう。些細ささいな善をめられてもそうだ。まして、大きな善をなせば、それだけ大きな欣びがある。鬼だとか、人非人ひとでなしとか、世間から死ぬまでつば
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あんた。それではなでもかンでよ、見ッともない。洟も涙も一しょくたにこぼしてさ。……だから私までが二郎さんから、まるで悪女か人非人ひとでなしみたいにいつもコキ下ろされているんだわ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『待てっ、人非人ひとでなしっ、もう一言いう事があるっ、待てっ』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこへ行く人非人ひとでなしよッ、耳は持たぬのかっ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人非人ひとでなしっ」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)