乱脈らんみゃく)” の例文
旧字:亂脈
「のみならず、かれは賤ヶ岳をすてて、先に北ノ庄へ逃げかえり、このほうの軍配ぐんばいすべて乱脈らんみゃくをきわめたりと、勝家公かついえこうへざんげんいたしたとやら」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アンドレイ、エヒミチは院長いんちょうとしてそのしょくいたのちかかる乱脈らんみゃくたいして、はたしてこれを如何様いかよう所置しょちしたろう、敏捷てきぱき院内いんない秩序ちつじょ改革かいかくしたろうか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
子供たちの規律きまりも忘れほども忘れて、あばれまわった様子が見えるようで、けがもなかったからまずよいとは思うものの、留守中の乱脈らんみゃくが思いやられてつらいものです。
女中訓 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
石が大きければ水煙もおびただしいと云った様なもので、傍眼わきめには醜態しゅうたい百出トルストイ家の乱脈らんみゃくと見えても、あなたの卒直そっちょく一剋いっこくな御性質から云っても、令息令嬢達の腹蔵ふくぞうなき性質から云っても
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
アンドレイ、エヒミチがあらた院長いんちょうとしてこのまちときは、この病院びょういん乱脈らんみゃく名状めいじょうすべからざるもので。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
然しばあさんは媳の乱行らんぎょう家の乱脈らんみゃくに対して手も口も出すことが出来なかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
賽の河原は乱脈らんみゃくである。慈悲柔和じひにゅうわにこ/\した地蔵様が出て来て慰めて下さらずば、賽の河原は、実に情無なさけない場所ではあるまいか。旅は道づれ世はなさけ我儕われらは情によって生きることが出来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)