丸山まるやま)” の例文
それは鎮火状態を問合せに行った先程の事務員が、間もなく戻って来て、丸山まるやまと呼ぶその技師が、何者かに殺害されたことを報告したのであった。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
丸山まるやま連さ。」と孫四郎は「いわずと知れた」といわぬばかり、「おいやなこともなかろう、切支丹キリシタンじゃなし。なア?」
切出きりだし信親のぶちか丸刀がんとう丸山まるやま。切出というのは鉛筆削りなどに使う、斜に刃のついている形の小刀であり、丸刀というのは円い溝の形をした突いて彫る小刀である。
小刀の味 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
その夕方、小学校六年生のふたりの少年、高橋たかはし君と丸山まるやま君とが、お堂の中の通路を歩いていました。
仮面の恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まえの白菊の歌は、老公がかつて水戸の丸山まるやまに十景を選んで、淵明堂えんめいどうを建て、また、えんをひらいて文雅ぶんがつどいをした折、京のさる宮家みやけから光圀みつくにへ下賜されたお歌だった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長崎の七不思議、寺もないのに大徳寺だいとくじ平地ひらちなところを丸山まるやまと、古いお宮を若宮と、北にあるのを西山と、桜もないのに桜馬場、玉はあれども大砲なし、しゃんと立ったる松の木を
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
枳園は音羽おとわ洞雲寺どううんじ先塋せんえいに葬られたが、この寺は大正二年八月に巣鴨村すがもむら池袋いけぶくろ丸山まるやま千六百五番地にうつされた。池袋停車場の西十町ばかりで、府立師範学校の西北、祥雲寺しょううんじの隣である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
のちに——丸山まるやま福山町ふくやまちやうに、はじめて一葉女史いちえふぢよしたづねたかへぎはに、えりつき、銀杏返いてふがへし、前垂掛まへだれがけ姿すがたに、部屋へやおくられてると、勝手元かつてもとから、島田しまだの十八九、色白いろじろで、のすらりとした
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
軽焼はと南蛮渡りらしい。通称丸山まるやま軽焼と呼んでるのは初めは長崎の丸山の名物であったのが後に京都の丸山に転じたので、軽焼もまた他の文明と同じく長崎から次第に東漸したらしい。
丸山まるやまくるわ見返みかへり柳。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)