不注意ふちゅうい)” の例文
老人ろうじん食料しょくりょうなしに旅をするような不注意ふちゅういな人ではなかった。かれは背中せなかにしょっていた背嚢はいのうから一かたまりのパンを出して、四きれにちぎった。
「どこのだろう……かわいそうに。そして、おやたちは、また、なんという不注意ふちゅういなんだろう……。うちの正坊しょうぼうは、いまごろどうしているかしらん……。」
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
容疑ようぎはぜつたいにかからないものときめていたのですが、そんなちいさな不注意ふちゅういがもとで、とうとううたがいがかかつたというのは、正直しょうじきなところ、まことに残念ざんねんでもあり、またわるいことは
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
かれは、自分じぶん不注意ふちゅういだったつぐないとして、あとの一つを大事だいじにしました。やがて、それは、初夏しょかそらしたで、しろきよらかなかんじのする香気こうきたかはなひらきました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
きっと、主人しゅじんは、ああ自分じぶんわるかった、不注意ふちゅういだったとさとって、これから、あの小僧こぞうさんや、ほかの小僧こぞうさんたちをかわいがるにちがいない。みんな日本人にっぽんじんですもの……。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうだとおもいます。しかし、わたし不注意ふちゅういから、ご心配しんぱいをかけましてすみません。」
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
あんまり、あんたはむしがよすぎる、このかね出入でいりのせわしいれに、自分じぶん不注意ふちゅういからかねをなくしたといって、またせというのは。こちらもいそがしいので、いちいちたのみをきいていられない。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、いちばんこまったことには、なにか自分じぶん不注意ふちゅういで、失敗しっぱいをしたものが、しろかげたからといって、ほんとうは、もしないのに、すべての過失かしつしろかげしてしまったことでありました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)