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不撓
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ふとう
ふりがな文庫
“
不撓
(
ふとう
)” の例文
彼女は
不撓
(
ふとう
)
な精神で、自分の境遇の条件を一貫した目的に従わせ、そのために活かしてつかって行くという生涯の態度を学んだのであった。
フロレンス・ナイチンゲールの生涯
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
理想の
不撓
(
ふとう
)
なる理論をもって大業を果たさんために戦うそれらの人々は、たとい倒れても、またことに倒れたがゆえに、崇高たるのである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
コロレンコの
不撓
(
ふとう
)
の実践力や、チェーホフの魔のごとき現実直視の力によってうけ継がれることになったのを思えば
「あかい花 他四篇」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
意気
軒昂
(
けんこう
)
、不屈
不撓
(
ふとう
)
、孤岩
屹立
(
きつりつ
)
、多少めちゃくちゃな感じかもしれないがおれとしても無関心ではいられなかったさ。
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その比類なき魅力は、
豊饒
(
ほうじょう
)
なりっぱな土地にかかってるとともにまた、不屈
不撓
(
ふとう
)
な民衆の努力にかかってるのだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
揉み立てられ、揺すられ、
薙
(
な
)
ぎ倒されながら瘠せさらばえた初老のひとが、二十代の青年のような精力と
不撓
(
ふとう
)
の努力でジリジリと槇子の方へ迫ってゆく。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
頑健なる巨躯、鉄の如き神経、不屈
不撓
(
ふとう
)
の意志、それらのものが完全に兇悪なる支倉を屈服せしめたのである。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
何ぞ
計
(
はか
)
らんその翌日君は再びカンヴアスを抱へて渋川に到り十分に画き直して一週間の後帰京せり。余は今更に君が不屈
不撓
(
ふとう
)
の勇気に驚かざるを得ざりき。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
鋤
(
すき
)
の刃のように、または盲の
土竜
(
もぐら
)
のように、行き当りばったりに、その
不撓
(
ふとう
)
不屈の鼻を前へ押し出す。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
実にこうした思索の点では、僕は自分の柄にもなく、地獄の悪魔の如き執念深さと、
不撓
(
ふとう
)
不屈の精神を有している。倒れても倒れても、僕は起きあがって戦ってくる人間だ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
カリフォルニアの金とヤンキーの
不撓
(
ふとう
)
の精力のおかげで、太平洋の両岸はたちまちのうちに、今日ボストンからニューオルリーンズにいたる海岸同様の人口を持つこととなり
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
うたっていくうちにかれの顔はますます黒く赤らみ、その目は輝き、わが校を愛する熱情と永遠の理想と現在力学の勇気と、すべての
高邁
(
こうまい
)
な
不撓
(
ふとう
)
な奮闘的な
気魄
(
きはく
)
があらしのごとく突出してくる。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
不撓
(
ふとう
)
の勇をふるいおこして、日々、自己の裁きに、
対
(
むか
)
っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実に今日の光化門は、その
不撓
(
ふとう
)
な精神の大胆な披瀝であった。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この老人のうちには堅忍
不撓
(
ふとう
)
な人物を思わせるものがあった。かく臨終に近づいていながら、彼は健康の外見を保っていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
もし予にして、不断
不撓
(
ふとう
)
なる活動もて、人間にその
則
(
のっと
)
るべき実例を与うることなくんば、人間はみな滅び
失
(
う
)
せん。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そういう雄々しいやさしさというものは実に
不撓
(
ふとう
)
の意志とむすびついて居り、堅忍と結びついて居り、しかもストイックでないだけの流動性が活溌に在る、そういうところに
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
知識ではなく、
不撓
(
ふとう
)
不屈の精神だけがこの仕事をなしとげさせるであろうということも。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし検察官の
不撓
(
ふとう
)
なる熱心のために、彼はついに仮面をはがれて逮捕された。一人の醜業婦の
妾
(
めかけ
)
があったが、彼が逮捕さるるとき驚きのあまり死んだ。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼らの多くがもっている、献身の力、
傲慢
(
ごうまん
)
なる冷静、最善にたいする愛と欲求、
不撓
(
ふとう
)
の精力、世に隠れたる
執拗
(
しつよう
)
な労苦、それらをことごとく俺は知っている。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
同志蔵原をはじめ、多くの同志たちの
不撓
(
ふとう
)
の闘争が語られてある。その中に自分の名も加わっている。読んでいるうちに覚えず涙がこぼれそうになった。このような涙を見せてやるのは勿体ない。
刻々
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そのうえ彼女は、もっとも絶望的な情況にあっても、
不撓
(
ふとう
)
の希望をもちつづけることができるのだった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
当時の検察官はその機会において、社会の秩序防衛についての
不撓
(
ふとう
)
な熱心を示した。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼女の
不撓
(
ふとう
)
な根気強さもラジウムに到達することはなかった。
山の彼方は:常識とはどういうものだろう
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その気力は、
不撓
(
ふとう
)
なそしておおむね熱狂的な精励さと、不思議に結合してるのだった。中流階級の種々の方面で彼が出会う人々は、ほとんどすべて不満家だった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
豪侠
(
ごうきょう
)
、献身、騒暴なる快活、勇気は知力の一部たることを示す学生、
不撓
(
ふとう
)
不屈なる国民兵、商人の露営、浮浪少年の
要塞
(
ようさい
)
、通行人らの死を恐れざる心、などをまっかにしかも
燦然
(
さんぜん
)
と照らし出した。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この曲は自由気ままなフーガで成っていて、その大胆な構想と
執拗
(
しつよう
)
な
律動
(
リズム
)
とは、ついに主人公の一身をつかみ取って、奮闘と涙との中で、
不撓
(
ふとう
)
不屈な信仰に満ちてる力強い行進へ導いていた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
たとい
跣足
(
はだし
)
で幾世紀間歩かせられようと、幾多の
艱難
(
かんなん
)
をも忍んで、いかなる喜びと
不撓
(
ふとう
)
の熱心とをもって、彼女を捜しに突進したことであろう!……そうだ、彼女のところへ行き得る機会が
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“不撓”の意味
《名詞》
不撓(ふとう)
曲がらないこと。たわまないこと。
意志が固く、困難に負けないこと。
(出典:Wiktionary)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
撓
漢検1級
部首:⼿
15画
“不撓”で始まる語句
不撓不屈