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さっち
ふりがな文庫
“
三進
(
さっち
)” の例文
江戸の食い詰め者で、
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も首の回らぬ連中なぞは、一つ新開地の横浜へでも行って見ようという気分で出かけて来る時だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
黙っていても五十万円とはね上るコムミッションを頂戴して、
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かぬ借金の穴埋めをしようと血眼になって走り廻っている。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
無慈悲のようでもいっそ一日も早い方がいい、
一寸
(
いっすん
)
逃がれに日を延ばしてゆくほどいよいよ
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もいかないことになる。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして結局自分の力では
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も勘考がつかないと悟った雄太郎君は、誰か力になって貰える、信頼の置ける先輩はないものか、と探しはじめた。
石塀幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かないぬかるみだし、身を切るような風、ふぶき、行けども行けども
涯
(
はて
)
しない道のり。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
まるで彼には
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆかない地獄だった。そしてこういうことにさんざん苦しくなるといつでも彼は自分でも変に思うほど、かえってでたらめな気持になった。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そして自分は実際にお客様方の
御贔負
(
ごひいき
)
についはめられて、それに自分もついはまりこみ、とうとう
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も動けない今の身分になってるのだとひそかに洒落れてみた。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
つけてくれる。実は
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かなかったんだそうだ。こゝで食えたら無論こゝにいたのさ。精々町会議員ぐらいのところだったろう。初めから豪いんじゃなかったらしい
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
多くの菌類や
黴菌
(
ばいきん
)
は、まことに折角人の骨折って拵えた物を腐らせ
悪
(
にく
)
むべきの甚だしきだが、これらが全くないと物が腐らず、世界が死んだ物で
塞
(
ふさ
)
がってニッチも
三進
(
さっち
)
もならず。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もならない思いをさせる男が世の中に一人くらい出てこないものかと考えた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
舷側の水かきは、
泥濘
(
でいねい
)
に踏みこんで、
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かなくなった五光のようだった。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
がらにもない
求法
(
ぐほう
)
の
願行
(
がんぎょう
)
と、実質にある自分の弱点が呼んだ社会的な
葛藤
(
かっとう
)
とが、ついに、
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆかない窮地へ自分を追い込んでしまい、今ではまったく、
御仏
(
みほとけ
)
からは見離され
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこにもこうにも、これじゃ
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆきやしません。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
説明しようとすればするほどいよいよお前は
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆかないことになる。何しろ生優しい事件じゃないのだからね
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一座の者にはもちろん、世間にもだんだんに不義理の借金もかさんで来て、もう
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かなくなったんです。
マレー俳優の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実は去年から失業していて
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かないんです。
木賃
(
もくちん
)
ホテルにも
居堪
(
いたたま
)
れなくなって、昨夜は芝公園のロハ台に一泊したんです。朝目を覚ますと、あなたが来ていました。
朝起の人達
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いったい堀見亮三氏は、岳南鉄道以外にも幾つかの会社に関係していた
錚々
(
そうそう
)
たる手腕家なのだが、この数年来
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かない打撃を受けて、押山の父から莫大な負債を背負わされていた。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かなくなっているんですが、あなたさまが裏の事情さえ話してくだされば、手前がかならず反証をあげてこの急場からお救いもうします。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……こうなった以上は、せめて、ぬすっとの手がかりだけでもつけておかねば
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もいきゃアしねえ。
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
俺は
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もいかぬところへ落ち込んで藻掻いていたが、こういう
不味
(
まず
)
い始末になったのは、あの時、手ぬるい扱いでやめてしまったからだと気がついた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「百万からの借金で
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かねえとなりゃ、こりゃァやり兼ねないもんでもない」
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……七つも齢下の定太郎にじぶんの方から首ったけになって
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆかぬようになり、商法の見習で定太郎が大阪へ行けば大阪へ、名古屋へ行けば名古屋といったぐあいに
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ぬきさしのならぬ母の古いレッテルと出生の素因が暴露すると、文句なしに犯人素質者のフレームに入れられ、それでもう、
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
も行かない身のつまりになるのだと思いこんでいた。
虹の橋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
二三日あぶれつづけで、もう
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆかなくなった。
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「実にどうも、
二進
(
にっち
)
も
三進
(
さっち
)
もゆかないことになって……」
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
進
常用漢字
小3
部首:⾡
11画
“三”で始まる語句
三
三味線
三月
三昧
三日
三人
三輪
三度
三和土
三方