トップ
>
一塊
>
いっかい
ふりがな文庫
“
一塊
(
いっかい
)” の例文
こよい四月十九日から、わずか四十余日の後には、本能寺の猛火の中に、その肉体を
一塊
(
いっかい
)
の灰となしていた信長だったのである。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで彼等は同時に箸を著け、同時に
一塊
(
いっかい
)
の蛇肉を
抓
(
つま
)
む。——いやいや。どうも蛇肉ではグロだ。やっぱり鰻という方がいい。
幸福な家庭
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
しかし目だけは天才らしい
閃
(
ひらめ
)
きを持っているのですよ。彼の目は
一塊
(
いっかい
)
の
炭火
(
すみび
)
のように不断の熱を
孕
(
はら
)
んでいる。——そう云う目をしているのですよ。
或恋愛小説
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無駄使いして居りませぬ。いや本当です。只今ペチカには
一塊
(
いっかい
)
の石炭も燃えては居りませぬ。嘘だとお思いなら、こちらへ来て御覧下さるように……
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なぜなら、どちらもそれを煮る時
一塊
(
いっかい
)
の砂糖すら入れられはしないのだから。部落で食べる魚といえば飛び上るほど塩辛い
鮭
(
さけ
)
、ただそれだけであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
▼ もっと見る
大地に
抛
(
ほう
)
り出されて、起き上がらぬうちに、狂いに狂った馬は、二三十尺もあろうと思う崖の下へ、
一塊
(
いっかい
)
の土のごとく落ちて、水音高く沈んでしまったのです。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
祖先伝来一切の生命の蓄積して居る土は、其
一塊
(
いっかい
)
も肉の一片
血
(
ち
)
の
一滴
(
いってき
)
である。農から土を
奪
(
うば
)
うは、霊魂から肉体を奪うのである。換言すれば死ねと云うのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
船長は
鞠
(
まり
)
の様にすばやく転び上ると何やら激しく叫び立て
乍
(
なが
)
ら逃れ去つた。逃げしなに彼の投げた
手裏剣
(
しゅりけん
)
、青
痰
(
たん
)
の
一塊
(
いっかい
)
が定の真白い肩先にペッタリとへばり着いた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
香も無き
癖
(
くせ
)
に
小癪
(
こしゃく
)
なりきと刀
急
(
せわ
)
しく是も取って払い、
可笑
(
おかし
)
や
珠運
(
しゅうん
)
自ら
為
(
し
)
たる
業
(
わざ
)
をお
辰
(
たつ
)
の
仇
(
あだ
)
が
為
(
し
)
たる事の
様
(
よう
)
に憎み今刻み
出
(
いだ
)
す
裸体
(
はだかみ
)
も想像の
一塊
(
いっかい
)
なるを
実在
(
まこと
)
の様に思えば
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
海は漫々として広く空は一面に晴れわたりたる処に、海の真中に鯨
汐
(
しお
)
を噴けば、その鯨の真上ばかりに
一塊
(
いっかい
)
の雲ある処を描き出だして、それが天然の景と見え可申候や。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ソレ自身がトテモ一キロや二キロの物質の
一塊
(
いっかい
)
とは思えないほどの超科学的な怪能力、神秘力、魔力を上下八方に放射して、そうした科学者たちの脳髄ソノモノに対する科学的の推理研究を
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すべてこれ
燄々
(
えんえん
)
たる
一塊
(
いっかい
)
の瓦斯に過ぎないという結論になる。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尊氏は、
一塊
(
いっかい
)
の土を、築山のうえにおいた。そして、それを亡き英時の霊とみて拝すように、下へ
退
(
さ
)
がって、ぬかずいた。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし人間の身体を九つ位にバラバラに
切断
(
せつだん
)
して、この蟒に
一塊
(
いっかい
)
ずつ喰べさせれば、比較的容易に片づくわけだし、腹も著しく
膨
(
ふくら
)
むこともなかろうと考えたので、質問してみようと思ったが
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは、自分が悪へおびき入れた弱気な八郎太の死骸だったが、彼の眼にはもう
一塊
(
いっかい
)
の土くれに過ぎない。眼はただ、彼方の小屋——草心尼と覚一の
塒
(
ねぐら
)
へ向って燃えていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえば
一塊
(
いっかい
)
の
煉瓦
(
れんが
)
じゃ。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
塊
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“一塊”で始まる語句
一塊片