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よりよく
疾風は
其の
威力を
遮つて
包んだ
焔を
掻き
退けようとして
其餘力が
屋根の
葺草を
吹き
捲つた。
火は
直に
其の
空隙に
噛み
入つて
益其處に
力を
逞しくした。
商ひ其
餘力を以て母を
養ひ居候に付私し如何にも
不便に存じ親子共引取べき旨
種々申聞候へ共今更
厄介に相成候は
不本意なりとて聞入申さず五ヶ年の
長病を
其財布の
僅な
蓄へは
此數日間にどれ
程彼を
救つたか
知れなかつた。
彼はまだ
幾らかの
日用品を
求める
餘力を
有して
居た。
彼は
開墾の
賃錢を
手にすることが
出來ればといふ
望みが十
分にあつた。