“ものもち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
富豪30.6%
物持30.6%
素封家11.1%
財産家8.3%
豪家5.6%
富者2.8%
富裕2.8%
素封2.8%
豪商2.8%
金満家2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
富豪ものもちの家などでは、表へ向って、五色の屏風びょうぶをたてならべ、書画の名品や古玩骨董こがんこっとうの類を展観してみせたり、あるいは花器に花を盛って、茶をきょう
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分は△△村の物持ものもちの息子であったが、色々の事に手出しをした為めに失敗して田畑を売り払った。素からの貧乏人でも窃盗でもない。
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
大阪市住吉区阿倍野筋一丁目に、山本照美と云う素封家ものもちの未亡人が住んでいた。其家そこには三人の子供があって、長女を政子、長男を政重、次男を政隆と云っていた。
室の中を歩く石 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これは正太がうまの日の買物と見えぬ、理由わけしらぬ人は小首やかたぶけん町内一の財産家ものもちといふに、家内は祖母ばば此子これ二人、よろづかぎに下腹冷えて留守は見渡しの総長屋
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
正兵衛といえるはこの村にて豪家ものもちの一人に数えらるる程の農民なるが、今しも三陸海嘯かいしょう義捐金ぎえんきんを集めんとて村役場の助役はきたりつつ、刀豆なたまめを植えたる畑の中に正兵衛を見つけて立ちながら話す。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『はははは。やはり高家といえば、五郎作ほどの富者ものもちでも、ばれる事を、それ程に思うのでござろうか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒船の帆影が伊豆の海を驚かしてから、世の中は漸次しだいにさわがしくなった。夷狄いてきを征伐する軍用金を出せとか云って、富裕ものもちの町家を嚇してあるく一種の浪人組が近頃所々に徘徊はいかいする。
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
文化人気分の多い栗栖とは違って、言葉数も少なく、お世辞もなかったが、どこかのんびりした地方の素封ものもちの坊っちゃんらしい気分が、気に入っていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
江戸町々の豪商ものもちはいうまでもなく、大名方の贔屓ひいきこうむったほどの名人で、其のこしらえました指物も御維新ごいっしん前までは諸方に伝わって珍重されて居りましたが、瓦解がかいの時二束三文で古道具屋の手に渡って
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お前も、情夫も——お前には他に情夫がある筈だ——この人が大変な金満家ものもちっていうことを知っていただろう」
見開いた眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)