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によせう
さうして、其
雲の
峰をよく見ると、
真裸な
女性の
巨人が、
髪を
乱し、身を
躍らして、一団となつて、
暴れ狂つてゐる
様に、
旨く輪廓を
取らした。
然し、
春枝夫人と
日出雄少年とは
私が
堅く
友に
保證して
居る
人、
且は
纎弱き
女性と、
無邪氣なる
少年の
身であれば、
先づ
此二人をば
避難せしめんと
頻に
心を
焦てたのである。
『ひ、ひ、
卑怯者!。』と
私は
躍起になつた、
此處には
春枝夫人の
如き
殊勝なる
女性もあるに、
彼船長の
醜態は
何事ぞと
思ふと、もう
默つては
居られぬ、
元より
無益の
業ではあるが