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とめをけ
此の
小僧を、
根附と
云ふ
身で、
腰の
處へ
引つけて、
留桶を
前に、
流臺へ
蚊脛をはだけて、
痩せた
仁王と
云ふ
形。
板の
間に
留桶を置いて洗つてゐる
年輩の人が、
御近辺のお
心安い
方と見えて言葉をかけ、甲
さて
通口に
組違へて、
角のない
千兩箱を
積重ねた
留桶を、
片手掴みで、
水船から
掬出しては、つかり
加減な
處を
狙つて
十杯ばかり
立續けにざぶ/\と
打ちまける。
猶以て
念の
爲に、
別に、
留桶に
七八杯、
凡そ
湯船の
高さまで、
凍るやうな
水道の
水を
滿々と
湛へたのを、
舷へ
積重ねた。これは
奧方が
注意以外の
智慧で、ざぶ/\と
先づ
掻𢌞して