“くちずさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クチズサ
語句割合
口吟61.1%
口誦22.2%
口遊4.4%
4.4%
3.3%
口号1.1%
口咏1.1%
口詠1.1%
吟咏1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
捨吉が口唇くちびるを衝いて出て来るものは、朝晩の心やりとしてよく口吟くちずさんで見たきよい讃美歌でなくてこうした可憐な娘の歌に変って来た。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いやその化物屋敷のような物凄い光景は、正視せいしするのが恐ろしく、思わず眼を閉じて、日頃となえたこともなかったお念仏ねんぶつ口誦くちずさんだほどでした
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
又八の眼は、時々、不安な浮かない顔つきになって、じっとお甲の容子ようすに見入った。お甲はそれを感じながら、武蔵の膝へ手をかけ、このごろ流行はやる歌というのを、細い美音で口遊くちずさんで
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしは年々枕山がつくる所の詩賦をくちずさみ、昔江戸の詩人の佳節に逢うごとに、いかにその風月を賞して人生至上の楽事となしたかを思い
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
強犯されて一首をくちずさむも、万国無類の風流かも知れぬが、昔は何国いずくも軍律不行届ふゆきとどきかくのごとく、国史に載らねど、押勝の娘も、多数兵士に汚された事実があったのを、妙光女の五百人に二倍して
父がたび/\酒に酔っては口号くちずさんでいたことがあるので、耳に胼胝たこが出来るほど聞かされたものであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、まだあの文句を世迷よまごとのように口号くちずさむかと思うと、誰彼の区別なく傍に来た者を掴まえては
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
老眼鏡の力をたよりにそもそも自分がまだやなぎ風成かぜなりなぞと名乗って狂歌川柳せんりゅう口咏くちずさんでいた頃の草双紙くさぞうしから最近の随筆『用捨箱ようしゃばこ』なぞに至るまで
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
玉山ぎょくざんまさに崩れんとして釘抜藤吉の頬の紅潮あからみ。満々と盃を受けながら、葬式彦兵衛が口詠くちずさんだ。
ところが当節の御時勢は下々しもじもの町人風情ふぜいでさえちょいと雪でも降って御覧ごろうじろ、すぐに初雪や犬の足跡梅の花位の事は吟咏くちずさみます。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)