樹木じゆもく)” の例文
樹木じゆもくには、それ/″\日陰地ひかげちにもよくそだや、また日陰ひかげ日陽ひなた中間ちゆうかんのところをこのなど種類しゆるいによつて、土地とちてき不適ふてきがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
むかしはそんなに樹木じゆもくえてゐたわけでなく、たいていそれらのつかうへには、まる磧石かはらいしせて、全體ぜんたいおほうてをつたものでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
今日こんにちですら日本全土にほんぜんどの七十パーセントは樹木じゆもくもつおほはれてをり、やく四十五パーセントは森林しんりんづくべきものである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
樹木じゆもくみなたがひいてさゝやきながら、いくらかあかるさをもさまたげて濃霧のうむからのがれようとするやうに間斷かんだんなくさわいだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此頃このごろ空癖そらくせで空は低く鼠色ねずみいろくもり、あたりの樹木じゆもくからは虫噛むしばんだ青いまゝの木葉このはが絶え間なく落ちる。からすにはとり啼声なきごゑはと羽音はおとさはやかに力強くきこえる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかし僕の思ひ出したのはかならずしも彼のことばかりではない。彼の住んでゐた家のあたり、——瓦屋根のあひだ樹木じゆもくの見える横町よこちやうのことも思ひ出したのである。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
きり何時いつしかうすらいでたのか、とほくのひく丘陵きうりよう樹木じゆもくかげ鉛色なまりいろそらにしてうつすりとえた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
小田原をだはらいて何時いつかんずるのは、自分じぶんもどうせ地上ちじやうむならば此處こゝみたいといふことである。ふるしろたかやまてんらなる大洋たいやう樹木じゆもくしげつてる。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いよ/\利根の水源すゐげん沿ふてさかのぼる、かへりみれば両岸は懸崖絶壁けんがいぜつぺき、加ふるに樹木じゆもく鬱蒼うつさうたり、たとひからふじて之をぐるを得るもみだりに時日をついやすのおそれあり、故にたとひ寒冷かんれいあしこふらすとも
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
さかうへから、はるか小石川こいしかは高臺たかだい傳通院でんづうゐんあたりから、金剛寺坂上こんがうじざかうへ目白めじろけてまだあまはひらない樹木じゆもく鬱然うつぜんとしたそこ江戸川えどがは水氣すゐきびてうすよそほつたのがながめられる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
或る物は手にてただちにぎりしなるべく、或る物にはつかくくり付けしならん。使用しようの目的は樹木じゆもくたたり、木材を扣き割り、木質ぼくしつけづり取り、じうたふし、てききづつくる等に在りしと思はる。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
覺悟かくご今更いまさらなみだ見苦みぐるしゝとはげますはことばばかりれまづはらまぶたつゆえんとするいのちさてもはかなし此處こゝ松澤まつざは新田につた先祖累代せんぞるゐだい墓所ぼしよひるなほくら樹木じゆもくしげみを吹拂ふきはら夜風よかぜいとゞ悲慘ひさんこゑ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
火口近かこうちかくにゐてこの波動はどう直面ちよくめんしたものは、空氣くうきおほきなつちもつなぐられたことになるので、巨大きよだい樹木じゆもく見事みごとれ、あるひこぎにされて遠方えんぽうはこばれる。勿論もちろん家屋かおくなどは一溜ひとたまりもない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
禿げた樹木じゆもくの梢がそろつて新芽しんめを吹く
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これで若葉わかばうつくしいいろや、新緑しんりよく緑色みどりいろのこともおわかりになつたとおもひますから、ぎには樹木じゆもく生活せいかつについてすこしおはなしをしませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それが年月としつきるにしたがつていしくづれたり、そのなかたねちてしたりして、つかうへ樹木じゆもくしげつてたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
もつとも昔は樹木じゆもくも茂り、一口に墓地と云ふよりも卵塔場らんたふばと云ふ気のしたものだつた。が、今は墓石ぼせき勿論もちろん、墓をめぐつた鉄柵てつさくにも凄まじい火のあとは残つてゐる。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
きり悲慘みじめすべてのものたがひらせまいとしてち/\すうけん距離きよりおいては物體ぶつたい形状けいじやうをもあきらかにしめさない。雜木林ざふきばやし樹木じゆもく開墾地かいこんち周圍しうゐにも混亂こんらんした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この風やこの雨には一種特別の底深そこぶかい力が含まれてて、寺の樹木じゆもくや、河岸かはぎしあしの葉や、場末ばすゑにつゞく貧しい家の板屋根いたやねに、春や夏には決して聞かれない音響おんきやうを伝へる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
うらは、すぐ四谷見附よつやみつけやぐら見透みとほすのだが、とほひろいあたりは、まぶしいのと、樹木じゆもく薄霧うすぎりかゝつたのにまぎれて、およそ、どのくらゐまでぶか、すか、そのほどははかられない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このふたつの種類しゆるいはみなさまのおうちのにはでも、公園こうえんや、やまや、どこへつてもられます。ぎには樹木じゆもくかたちによつても區別くべつされます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ちょうど今日こんにち明治天皇めいじてんのう大正天皇たいしようてんのう御陵ごりようにおいてをがめるように、樹木じゆもくえないようにしてあつたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
きたからればしろはしらであつた樹木じゆもくみき悉皆みんな以前いぜん姿すがたらうとしてずん/\とゆきころがした。にはからさき桑畑くはばたたゞぱいしろい。地上ちじやう數寸すすんふかさにゆきつもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れた樹木じゆもくかわいた石垣いしがきよごれた瓦屋根かはらやね、目にるものはこと/″\せた寒い色をしてるので、芝居しばゐを出てから一瞬間しゆんかんとても消失きえうせない清心せいしん十六夜いざよひ華美はでやかな姿すがた記憶きおく
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
僕は樹木じゆもくを眺める時、何か我々人間のやうに前後まへうしろのあるやうに思はれてならぬ。
僕は (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もつて、このあたりすで樹木じゆもくしげれることおもふべし。焼山やけやまちかい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
樹木じゆもくは一えだ大切たいせつにいたさなければりませんな。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)