いもうと)” の例文
はなが、東京とうきょう奉公ほうこうにくるときに、ねえさんはなにをいもうとってやろうかとかんがえました。二人ふたりとおはなれてしまわなければなりません。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにくはへてをとこ周旋業しうせんげふも一かううまくはかないところから、一年後ねんごには夫婦別ふうふわかれとはなしがきまり、をとこはゝいもうととをれて関西くわんさいく。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
わかつた、松葉屋まつばやのおいねいもうと金次きんじ待合まちあひを出したと聞きましたが。乙「ぼく家見舞いへみまひいかず、年玉としだま義理ぎりをかけてさ。甲「し/\。 ...
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いもうとも一げだしたんですけれど、やつぱりつかまつてしまひました。ちやうど大森おほもり鉱泉宿くわうせんやどへつれられてつたときのことでした。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
あわてて枕許まくらもとからがったおせんのに、夜叉やしゃごとくにうつったのは、本多信濃守ほんだしなののかみいもうとれんげるばかりに厚化粧あつげしょうをした姿すがただった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おにいさまたちも、ちいさいいもうとをみつけたので、まけずに大よろこびしました。でも、みんなのこのよろこびは、つかののものでした。
ちがへに、十二三になる丸顏まるがほおほきなをんなと、そのいもうとらしいそろひのリボンをけた一所いつしよけてて、ちひさいくびふたならべて臺所だいどころした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうすると、いつのまにか、いなかのおとうさんやいもうとたちの顔が、それをとりまいてめずらしそうに見物けんぶつしています。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
劉填りうてんいもうと陽王やうわうなり。陽王やうわうちうせられてのち追慕つゐぼ哀傷あいしやうしてやまひとなる。婦人ふじんこのやまひいにしへよりゆることかたし。とき殷※いんせんゑがく、就中なかんづくひとおもてうつすにちやうず。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それに、おとなりのてつさんでも、そのいもうとのおゆうさんでも、祖父おぢいさんのお弟子でしとしてとうさんのおうちかよつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「京都著名老鋪ろうほ財数十万戸主家系由緒身健品正風采紳士さけ不嗜たしなまず店雇人十数工場雇人数十ははろういもうとかす弟分家無係累むけいるい
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
古事記こじき神代しんだいまきに、豐玉姫とよたまひめからおうまれになられたお子様こさまを、いもうと玉依姫たまよりひめ養育よういくされたとあるのは、つまりそうった秘事ひじ暗示あんじされたものだとうけたまはります。
これから一ばかり行くと、わたしのいもうとがいます。そこへわたしから手紙てがみをつけてげます。
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこで、武揚たけあきいもうとのおっとである江連えづれというひとから、諭吉ゆきちのところへ手紙てがみでといあわせてきました。江連えづれ幕府ばくふ外国奉行がいこくぶぎょうをしていたので、諭吉ゆきちとはしりあったなかでした。
危險きけんをかしてめたといひ、十一歳じゆういつさいになる糸井重幸いとゐしげゆきといふ島津小學校しまづしようがつこう四年生よねんせいは、祖母そぼいもうととも下敷したじきになりながら、二人ふたりには退くちをあてがつて、自分じぶんだけはつてかへ
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
亡きいもうと——浪子の実母——の臨終、浪子が父中将の傷心、など胸のうちにあらわれ来たり乱れ去りて、情けなく腹立たしき涙のわれ知らず催し来たれる夫人はきっとかたちをあらため
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
乳母うば玉江たまえは、これも、高橋三位満実卿たかはしさんみみつざねきょういもうとで、りっぱな婦人ふじんでした。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
財主ざいしゆいもうところしたる一條いちじようなんじて「その氣質きしつはかねてきゝたる正直質樸せうじきしつぼくのものたるに、これをも殺したるはいかにぞや………さてはのちわれにかへりて大にこれを痛み悔ゆべきに、」云々とはれたり。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「ああ、いもうとがしゃべッたんだな、彼奴あいつ、ばかな奴だな!」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
とげ翌朝泉岳寺へ引取けるに大勢の見物は雲霞うんかの如く忽ち四方に評判聞えけりこゝに庄左衞門がいもうと美麗びれいにして三味線みせんなどよくひくゆゑ品川の駿河屋何某のもとへ縁付けるに庄左衞門が父十兵衞は古稀こきに近くこしは二重に曲居まがりゐるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
シモオヌよ、雪はそなたのいもうと中庭なかにはてゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いもうとの骨ひろひにと來しものを。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
わたしがさるいもうと
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あに様姉様いもうと
猿小僧 (新字新仮名) / 夢野久作萠円山人(著)
小さきいもうと
にいさん、この金魚きんぎょは、ほんとうにつよ金魚きんぎょですこと。たった一つになっても、元気げんきよくあそんでいますのね。」と、いもうとがいいました。
水盤の王さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
俳諧師はいかいし松風庵蘿月しようふうあんらげつ今戸いまど常磐津ときはづ師匠しゝやうをしてゐるじついもうとをば今年は盂蘭盆うらぼんにもたづねずにしまつたので毎日その事のみ気にしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
山三郎は母といもうとが先に大津の銚子屋に参って居て、これから見合に相成るという事を聞いて、驚きまして、たくを出て大津の銚子屋へ参ったが
「あれだ。おもしれえはどくだぜ。千きちいもうとのおせんをえさにして、若旦那わかだんなから、二十五りょうという大金たいきんをせしめやがったんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
貴方あなたがたがさうてゐられるとすれば、大久保おほくぼつても幸福かうふくです。おいもうとさんがじつと我慢がまんしてゐられるのも、なか/\だとおもひますね。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
却説さて——その白井しらゐさんの四歳よツつをとこの、「おうちへかへらうよ、かへらうよ。」とつて、うらわかかあさんとともに、わたしたちのむねいたませたのも、そのかあさんのすゑいもうとの十一二にるのが
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「だつて、彼方あつちの方がいもうとさんので、此方こつちの方があにさんのぢやありませんか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこで、こんどは、いもうとのむすめをよび出しました。
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
って、とりくついもうとうえおとしました。
また、つぎのいもうとはなになり、おとうと小鳥ことりになったことをおうさまにらせますと、それをも魔法使まほうつかいをとおして、きたいとおもわれました。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こわがるこたァねえから、あとずさりをしねえで、落着おちついていてくんねえ。おいらァなにも、ひさりにったいもうとを、っておうたァいやァしねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
やがて電車通でんしやどほりいへけんかりると、をとこ国元くにもとから一よめつたことのある出戻でもどりのいもうとに、人好ひとずきのよくないむづかしい母親はゝおやとがたゝめ
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
五十円で是をおまはんが買って下さりゃア私ア其の金を資本もとでにして一商法ひとしょうほう、私が宜くなりゃ浜に居るいもうとも引取って、又おめえさんに恩返おんげいしのられねえでもない
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
趣味しゆみ高雅かうがな、服装ふくさうだけでも、十ぶんそれが証明しようめいされた。そのいもうと奈美子なみこが、うして大久保おほくぼのところへせるやうになつたかは、かんがへてみても、竹村たけむらにはわからなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
又三四郎の方を向いて、今夜こんやいもうとを呼んだのは真面目まじめな用のあるのだのに、あんな呑気ばかり云つてゐてこまると話した。聞いて見ると、学者丈あつて、存外淡泊である。よし子に縁談のくちがある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これぞ——ついあひだなくつた——いもうとのおくにさん、はら/\と
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いもうとのマリちゃんが、」
「もうこんなみじめな下界げかいには一こくもいたくない。」といって、いもうとはふたたびはとの姿すがたとなって、天上てんじょう楽園らくえんかえってしまったのです。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
恐入ったいもうと、妹と云っては縁が切れてるから奧州屋新助殿どんのお内儀さんに対して大西徳藏かくの如くだ(両手を突き頭をさげる)矢張是も親のばちだ、親の罰だから誠に何うも困る
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
稽古本けいこぼんを広げたきりの小机を中にして此方こなたには三十前後の商人らしい男が中音ちゅうおんで、「そりや何をいはしやんす、今さら兄よいもうとといふにいはれぬ恋中こいなかは……。」と「小稲半兵衛こいなはんべえ」の道行みちゆきを語る。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「あれ! おき、」と涙聲なみだごゑで、まくらあがらぬ寢床ねどこうへ露草つゆくさの、がツくりとして仰向あをむけのさびし素顏すがほべにふくんだ、しろほゝに、あをみのさした、うつくしい、いもうとの、ばさ/\した天神髷てんじんまげくづれたのに
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あにいもうとの顔を見てだまつてゐる。妹は、またう云つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いもうとのマリちゃんが、」
むかしのことでありました。あるちいさなくに女皇じょおう二人ふたりのおさまがありました。あねいもうともともにうつくしいうえに、りこうでありました。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
何卒どうぞお手を上げられて、折角の御所望ではございますが、仔細あっていもうとを差上げる訳にはゆきません、と申すはいもうとには別に婿を取ってわたくしが後見になって石井のいえを相続させまするので