“惨”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
みじ49.4%
むご15.3%
さん12.6%
いた8.4%
みじめ5.0%
いじ3.1%
むごた2.3%
いたま1.1%
みぢ0.8%
いぢら0.4%
すさま0.4%
0.4%
むげ0.4%
むごたら0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「もうこんなみじめな下界げかいには一こくもいたくない。」といって、いもうとはふたたびはとの姿すがたとなって、天上てんじょう楽園らくえんかえってしまったのです。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは輿論が喧しくて罰しきれませんでしたが、一方では無能力者であり、不幸になった時だけ能力者になっている。むごい話です。
婦人の創造力 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さんとして馬いなゝかず、この間の花は、磧撫子かはらなでしこ蛍袋ほたるぶくろ擬宝珠ぎぼうし、姫百合、欵苳ふき、唐松草等にして、木は百中の九十まで松属まつぞくの物たり。
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
とある夕ぐれのことであった、情知らぬ獄吏に導かれて村中引きまわしにされた上、この岡の上でいたましい処刑しおきにおうたということ。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
おとらは不機嫌なお島の顔を見ると、お島が七つのとき初めて、人につれられて貰われて来た時のみじめなさまを掘返して聞せた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それがじいやにはなんだかいじらしくも思われるので、叱ったりさとしたりして、たびたび断わるのですけれど、どうしてもきません。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これが最後だというので百円れてやったところ、素直に帰ってゆきました。そのときは、よもやこんなむごたらしいことになろうとは思いませんでした。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と彼は微笑して言った、その眼元めもとには心の底にひそんで居る彼のやさしい、正直な人柄の光さえ髣髴ほのめいて、自分には更にそれいたましげに見えた、其処そこで自分もわらいを含み
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その点ぢや、おれの方がみぢめだ。相変らず寝てばかりゐるよ。
屋上庭園 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
に彼は熱海の梅園にて膩汗あぶらあせしぼられし次手ついで悪さを思合せて、憂き目を重ねし宮が不幸を、不愍ふびんとも、いぢらしとも、今更に親心をいたむるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
窓越しに仰ぐ青空は恐ろしいまでに澄み切って、無数の星を露出している。嵐は樹にえ、窓に鳴ってすさまじく荒れ狂うている。世界は自然力の跳梁ちょうりょうに任せて人の子一人声を挙げない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
当時の選科生というものはじめなものであった、私は何だか人生の落伍者となったように感じた。学校をえてからすぐ田舎の中学校に行った。
或教授の退職の辞 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
「お出を待ってね、あれ、あのとおり、何一つ手をつけねえで放っときやした。八丁堀を前に控えてこの手口、なんと親分、てえっ、むげえことをやらかしたものじゃごわせんか。」
美和子の運命、それは余りにもむごたらしいものであった、彼女は胸が痛くなるような気持ちがした。
深夜の客 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)