“擬宝珠”のいろいろな読み方と例文
旧字:擬寶珠
読み方割合
ぎぼし30.2%
ぎぼうしゅ20.9%
ぎぼしゅ18.6%
ぎぼうし18.6%
ぎぼしゆ4.7%
ぎばうしゆ2.3%
ぎほうじゅ2.3%
ぎぼうしゆ2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
双欄そうらんを通して、欄のたもとには、大きな擬宝珠ぎぼしの太柱を建てた唐橋式の偉観いかんをもって、新しき天下の大道——また文化の動脈となっていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今、深田橋のたもとの蕎麦屋そばやで、酒を一合飲み、蕎麦を喰って擬宝珠ぎぼうしゅの方面へ立ち去った一名の浪人者がいるというらせだ。——すぐ来いっ」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女は、帯にも突込つっこまず、一枚たなそこに入れたまま、黙って、一帆に擦違すれちがって、角の擬宝珠ぎぼしゅを廻って、本堂正面の階段の方へ見えなくなる。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さんとして馬いなゝかず、この間の花は、磧撫子かはらなでしこ蛍袋ほたるぶくろ擬宝珠ぎぼうし、姫百合、欵苳ふき、唐松草等にして、木は百中の九十まで松属まつぞくの物たり。
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
には、放肆ほうししろしまが、三筋みすぢ四筋よすぢながみだれてゐた。代助が見るたびに、擬宝珠ぎぼしゆびて行く様に思はれた。さうして、それと共にしろしまも、自由に拘束なく、びる様な気がした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
暖簾のれんの色、車の行きかひ、人形芝居の遠い三味線の——すべてがうす明い、もの静な冬の昼を、橋の擬宝珠ぎばうしゆに置く町のほこりも、動かさない位、ひつそりと守つてゐる……
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
礼拝の人々は絶えないほどになって行った。緑の林の中に、赤、白、青、黄、紫の五色の旗がひるがえり、祠の屋根に黄金色こがねいろ擬宝珠ぎほうじゅが夕陽をうけて光り出した。
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
私はその女のかんざしを揷した髪の上から鼠色の頭巾を冠つた形がさきの尖つた擬宝珠ぎぼうしゆによく似て居たことを覚えて居る。
(新字旧仮名) / 島崎藤村(著)