“けい”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ケイ
語句割合
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7.3%
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怪異1.0%
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(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
叔父御よりも甥の殿の方がまだしもの果報があると思いながら、香を手向たむけて去ろうとすると、入違いれちがいに来てけいを打つ参詣者があった。
秋の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さよう、小名木川おなぎがわの五本松は芭蕉翁ばしょうおうが川上とこの川しもや月の友、と吟じられたほどの絶景ゆえけいたりがたくていたりがたき名木めいぼくでしょう。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その中で馬岱ばたいは忠義諸人に超え、国の兵馬を託すに足る者ゆえ、いよいよ重く扱うたがいい。諸政の部門はけいがこれを統轄総攬とうかつそうらんされよ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さうするどくもなく敢へて妙策めうさくろうせずしづかにおだやかにもみ合つてゐる光けいたるやたしかに「さくらかざして」のかんなくもない。
〔評〕或ひと岩倉公幕を佐くとざんす。公薙髮ていはつして岩倉邸に蟄居ちつきよす。大橋愼藏しんざうけい三、玉松みさを、北島秀朝ひでとも等、公の志を知り、深く結納けつなふす。
けいに引いた黄金の筋よりも墨の跡がはるかに輝いていた。軸、表紙、箱に用いられた好みの優雅さはことさらにいうまでもない。
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
京都は——恰もそこの藝子げいこ舞子まひこのやうに——偏へに他郷人の爲めにまちけいを爲してゐるやうに見えるが、大阪は、また其一見不愛想な商人の如く
京阪聞見録 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
私の邸内にある樹木、これは皆な私が来てからゑたものだ。もとは木も何もなく、無論家屋もなく、一けいの芝畠であつた。
自からを信ぜよ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
聞如何我たねなればとて然る曲者くせもの採用さいようし後にがいをばのこさんこと武將ぶしやうの所爲に有ざれば天下の爲に彼をしてしひ僞者にせもの言詰いひつめ宜敷よろしくけいに行ふ可し是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
温故之栞おんこのしおり』(巻十)にはこの国の水田生産のことを記して、以前は割竹五六本を木の台に立てつらね、稲を七八けいずつはさんでいた故に
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
和漢古典のあらゆる文辞は『鶉衣』を織成おりなとなり元禄げんろく以後の俗体はそのけいをなしこれをいろどるに也有一家の文藻ぶんそうと独自の奇才とを以てす。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いつぞやの凌雲院りょううんいんの仕事の時も鉄やけいむこうにしてつまらぬことから喧嘩けんかを初め、鉄が肩先へ大怪我をさしたその後で鉄が親から泣き込まれ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それからもう一つは、大宗寺だいそうじの庭に落ちたけい五十センチの隕石いんせきのことだが、あれを掘りだして持っていったのが、この辻川博士だということまでは分った。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
漢の焦延寿の『易林』にそん鶏と為すとあれば、そんけいは巽鶏そんけいだ、けいの字音にって蛙をケイと読み損じて、たつみの方の三足の蛙と誤伝したのである。
糢糊もこたる暁色げうしよくの中に藍鼠あゐねずみ色をした円錐けいの小さい島の姿が美しかつた。山麓に点点てんてんたる白い物は雪であらうと云つて居たが、望遠鏡で望むと人家じんかであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
斉王せいおうもまた人の告ぐるところとなり、廃せられて庶人となり、代王けいもまたついに廃せられて庶人となり、大同だいどうに幽せらる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
三世瑞仙直温は明治八年に歿し、直温の妻窪田清三郎のむすめけいが後を襲いだ。これが瑞仙の家の第四世池田啓である。啓の後は啓の仲兄笠原鐘三郎しようざぶらうの子鑑三郎が襲いだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
時に立窘たちすくみつゝ、白鞘しらさやに思はず手を掛けて、以てのほかかな、怪異けいなるものどもの挙動ふるまいた夫人が、忘れたやうに、つかをしなやかに袖にいて、するりと帯に落して
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
蘭軒は既に茶山を送るに詩を以てして足らず、けいは更に其同行者にも及んだ。「送臼杵直卿甲原元寿従菅先生帰。追師負笈促帰行。不遠山河千里程。幾歳琢磨一䨇璞。底為照乗底連城。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
蛇のようにけいけいとした鋭い彼女の眼は、もうすっかり私を呪縛してしまったので、この怖ろしい老女から眼をそらすことも、身をひくことも出来なくなった。
日本の治この時に候ふ——という文言を吐いたとき、秀吉の双眸そうぼうは、まったくその折のもののように、けいとして見えた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドイツでもかつてラテンけい言葉ことば節制せつせいしてなるべく、自國語じこくご使用しようすることを奬勵せうれいした。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
襄陽の城には、先頃から幼国主劉琮りゅうそう、その母さい夫人以下が、けい州から移住している。玄徳は、城門の下に馬を立て
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
型のごとく名のりあつて初対面の挨拶がすむとおけいちやんは
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
是日に蘭軒はけいに入り京を出でた。一行は敢て淹留えんりうすることをなさなかつたのである。奴茶屋の条に、片岡流射術の祖と云つてあるのは、片岡平右衛門家次の一族を謂つたものであらうか。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しんやまひの持病があつて、寢たり起きたり、奧は若くて美しい後妻のおはま采配さいはいを振ひ、店は叔父と言つても、遠縁の掛りうどけい之助と、働き者の手代の喜三郎に任せて、手堅い商賣と
随て他の感情を動かすに軽重ある又宜ならずや、方今漢文をよくするを以て世に尊まるゝ者極めて多く、中に就て菊池きくちけい依田百川よだひゃくせん君の二氏尤も記事文に巧みに、三けい翁は日本虞初新誌にっぽんぐしょしんしの著あり
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
大川博士は丁度指紋研究家が指紋の型を分類した様に、人間の頭部および顔面の形態を、百数十の標準けいに分類した。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
けいを高くして埋葬し
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
二妹は一はけい、一はであつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
霜より白いひげがあらわれる。心なしか去年あたりより幾ぶん肉のげたかに見える眼もとではあるが、けいとしたはむしろそれゆえに多くを加えている。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けいきょも、たまの名である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
桃李とうり言わざれども、下おのずかけいを成す」とは確かに知者の言である。もっとも「桃李言わざれども」ではない。実は「桃李言わざれば」である。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
女主人操の言葉を下に聽いて、平次と八五郎はこの『さながらの紅けい』に踏込んで居りました。
いうまでもなくスミスはこうして自分のけい部の周囲にひそかに法律の縄が狭められつつあることなどすこしも知らずに
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
漢名けいというも鶏はけいなり、能く時をかんがうる故名づくと徐鉉じょげんは説いたが、グリンムの童話集に、鶏声ケケリキとあったり、ニフィオレ島等で鶏をキオ、マランタ島等でクアと呼んだりするからすと
粕谷かすやの夫妻は彼女を慰めて、葛城が此等の動揺はまさに来る可き醗酵はっこうで、少しも懸念す可きでないとさとした。然しおけいさんの渡米には、二念なく賛同した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
明治四十三年二月三日、粕谷草堂の一家が午餐ごさんの卓について居ると、一通の電報が来た。おけいさんの兄者人あにじゃひとからである。眼を通した主人は思わずああと叫んだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
くだんごとけいの字も古く用ひたれば、おほかたの和文章わぶんしやうにも鮭の字を用ふべし、鮏の字はあまねくは通じがたし。こゝにはしばらく鮏にしたがふ。
新撰字鏡に鮭の字をいだしゝはせいけいと字のあひたるを以て伝写でんしやあやまりをつたへしもしるべからず。けい河豚ふぐの事なるをや。下学集かがくしふにもさけ干鮭からさけならいだせり。
三、四年してけい家はますます富んだ。三郎は学校に入った。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「あんたはけいさんではありませんか。」
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
とッととけいってもいいぞ——これだけではあまり殺風景になりますから、最後には向うにも花を持たせまして——だが、おめえさんだッても途中からけいりたくはなかろう。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
おいらもじつはけいしたくねいんだ——てなことにしてしまいます
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
金川門きんせんもんに至る。谷王こくおうけい李景隆りけいりゅうと、金川門を守る。燕兵至るに及んで、ついに門を開いて降る。魏国公ぎこくこう徐輝祖じょきそ屈せず、師を率いて迎え戦う。あたわず。朝廷文武皆ともに降って燕王を迎う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
大寧たいねいに居らしめ、第十八子べんを封じてびん王となし、第十九子けいを封じてこく王となす、谷王というはるところ宣府せんふ上谷じょうこくの地たるを以てなり、第二十子しょうを封じてかん王となし、開源かいげんに居らしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そして其陰陽五行説の本づく所は素問霊枢である。此書が明の虞博ぐはくの著した医学正伝と共に舶載せられた時、今大路いまおほぢけいは正伝を取り、古林見宜ふるばやしけんぎは入門を取つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
其いづる所を問へば、此国苗木城西二里きよ水晶が根といふ山よりとり来るといふ。二里半大井駅。十三峠をのぼる。此れいはなはだ険ならず、けいなくこくあり。石も少して赤埴土あかきはにつちなり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
このことは、前に言った高橋さんたちのはたらきとともに、まだ世間せけんにつたえられていないのでとくに、人々のけいちょうをあおいでおきたいと思います。
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
一月ぐれえは勘定を間違まちげえる事もあるもんだ、おめえのようにじついことを云われちゃア苦労をしたけいがねい、わしイもううちに居ねい了簡だから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
みやげ、印伝、水晶だの、百草ひゃくそうだのを売ってる町家に交って、ぼくにしてけいなる富士道者の木彫人形を並べてあるのが目についた。近寄って見たら、小杉未醒原作、農民美術と立札してあった。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
十九日、朝のうちに付近の景勝を探ろうと、宿の女の子を案内に吹割ふきわりへ行ってみる。片品の水せばまりてけいをなしている処、奔流碧潭へきたん、両岸の絶壁いずれも凡ならず。一行いずれも意外の景色に驚く。
倉成竜渚りゆうしよの歿したのは前年文化九年十二月十日で、齢は六十五であつた。名はけいであつたらしい。鉛字えんじの世となつてから、経と書しかうと書し、諸書区々まち/\になつてゐる。あざなは善卿、通称は善司であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
つくさして引入ひきいれしすくなからず塞翁さいをうがうまきことして幾歳いくとせすぎし朝日あさひのかげのぼるがごといまさかゑみな松澤まつざは庇護かげなるものから喉元のどもとすぐればわするゝあつ對等たいとう地位ちゐいたればうへこぶうるさくなりてひとりつく/″\あんずるやうけい十町じつちやう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
深くば則ちれいし、淡くば則ちけいすと。子曰く、果なるかな、これ難きことなしと。——憲問篇——
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
第二十一子しん王とし、第二十二子えいあん王とし、第二十三子けいとう王とし、第二十四子とうえい王とし、第二十五子𣟗王としたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
とうに整頓のけい点が近づいたせいか、その急激に訪れた疲労は、恐らく何物にもまして、魅惑的なものだったに違いないであろう。しかし、そのうち烈しい意志の力がほとばしり出てきて
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
なわを受けて始めて直くなるのではないか。馬にむちが、弓にけいが必要なように、人にも、その放恣ほうしな性情をめる教学が、どうして必要でなかろうぞ。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
孔明の父けいは、泰山の郡丞をつとめ、叔父のげんは、予章よしょうの太守であった。まずその頃も、家庭は相当に良かったといっていい。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれの父のけいという人に一人の愛妾があったが、母は非常に嫉妬ぶかい婦人で、父が死んで埋葬する時に、ひそかにその妾をも墓のなかへ押し落して、生きながらに埋めてしまった。
天下の羣小ぐんしょうさしまねいで、いたずらにタイモンのいきどおりを招くよりは、らんを九えんき、けいを百けいえて、ひとりそのうち起臥きがする方が遥かに得策である。余は公平と云い無私むしと云う。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
漢名けいというも鶏はけいなり、能く時をかんがうる故名づくと徐鉉じょげんは説いたが、グリンムの童話集に、鶏声ケケリキとあったり、ニフィオレ島等で鶏をキオ、マランタ島等でクアと呼んだりするからすと
〔譯〕けいを讀むは、宜しく我れの心を以て經の心を讀み、經の心を以て我の心をしやくすべし。然らずして徒爾とじ訓詁くんこ講明かうめいするのみならば、便すなはち是れ終身かつて讀まざるなり。
孔子、晩にして易をこのみ、たんけいしょう説卦せっか文言ぶんげんついず。易を読み、韋編いへん三たび絶つ。曰く、我に数年を仮し、かくのごとくせば、われ易に於て則ち彬彬ひんぴんたらん。(『孔子全集』、一九六五)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
けいという字は、あみのことです。魚をとる網です。という字は、障礙物しょうがいぶつなどという、あのがいという字で、さわり、ひっかかりという意味です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
彼の家の近くに住む一商人は或夜紀昌の家の上空で、雲に乘つた紀昌が珍しくも弓を手にして、古の名人・羿けいと養由基の二人を相手に腕比べをしてゐるのを確かに見たと言ひ出した。
名人伝 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
これを人身にたとうれば、陸奥むつ出羽でわはその首なり。甲斐かい信濃しなのはその背なり。関東八州および東海諸国はその胸腹、しかして京畿けいきはその腰臀ようでんなり。山陽南海より西に至ってはのみ、けいのみ
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
青年探偵小説家は、二月余り通り慣れた村の細道を、一本の樹、一けいの草にも名残なごりおしみながら歩いていた。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
往昔秀衡ひでひらの室、社後の岩窟にて臨産の節、祈願して母子安全たり、また王子に祈誓し、この子をすなはち巌窟に捨て置き、三山にけいして帰路にこれをみるに、狐狼等守護していさゝかもつつがなき故に
露国のけい急なると共に、他方においては英船文化五年(千八百〇八年)長崎に入り、港内を剽掠ひょうりゃくし、ために長崎奉行松平康英をして、自殺してその機宜きぎを失するのせめを幕府に謝せしめたりき。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ぼくはひがんでうのでない。けれどもぼくが父とふたりでいろいろな仕事のことを云いながらはたらいているところを読んだら、ぼくをけいべつする人がきっと沢山たくさんあるだろう。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
文壇ぶんだん論陣ろんぢん今やけい亂雜らんざつ小にながれて、あくまでも所信しよしん邁進まいしんするどう々たる論客きやくなきをおもふ時、泡鳴ほうめいさんのさうした追憶ついおくわたしにはふかい懷しさである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「佐竹の賭場とばで、夕方から曉方まで、張つて張つて張り通しましたよ。あんな勝目はけいびやく以來で、一と晩に二十五兩と勝ちましたぜ。誰にでも訊いて下さい、小便に立つのが惜しかつたくらゐで」
○ 「思い邪なし」==詩経魯頌ろしょうけいの詩に「思無邪」の一句がある。心に暗影がなく、素直ですつきりしているという意味である。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
前足皆白い馬をけい、後足皆白きを、前右足白きは啓、前左足白きは、後右足白きはじょう、後左足白きはしゅなどなかなか小むつかしく分別命名しある。わが邦も毛色もて馬を呼ぶに雑多の称あり。
看花玩月がんげつノ外また門ヲ出デズ。かおセテ長シ。首髪種々タルモナホ能クけいヲ結ブ。一見シテ旧幕府ノ逸民タルヲ知ル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
支那しなで昔から行なわれた肉刑にくけいおもなるものとして、けい(はなきる)、(あしきる)、きゅう、の四つがある。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)