“醗酵”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はっこう95.3%
はつかう4.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
悪疾に侵されたかれの頭脳において、一人の罪は全般が背負うべきものという不当の論理が、ごく当然に醗酵はっこうし生長したかもしれない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
一体この部屋は二人で寝てさえ狭苦しい上に、ナオミの肌や着物にこびりついている甘い香と汗のにおいとが、醗酵はっこうしたようにこもっている。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何處からと無くなまぐさいやうなどぶ泥臭どろくさいやうな一種いやな臭が通ツて來てかすかに鼻をつ……風早學士は、此の臭を人間の生活が醗酵はつかうする惡臭だと謂ツてゐた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
街から醗酵はつかうする特殊な臭ひは聯想作用を起して、彼の胸に種々な過去の情景を浮びあがらせ、彼はそれに簡単に陶酔して了つてゐたので、その尖つてゐる眼もいつに似ず柔和に光り
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)