髪形かみかたち)” の例文
旧字:髮形
あの頃は今時と違いまして、女の髪形かみかたちもいろいろとありましたし、またその身分とか年頃とかで、さまざまの髪形がありました。
女の話・花の話 (新字新仮名) / 上村松園(著)
広子はちょっと陳列棚の硝子ガラスに彼女の髪形かみかたちを映して見たのち、やはり格別急ぎもせずにとなりの第二室へ足を向けた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その髪形かみかたちと着衣とは、非常にハッキリ乞食の印象に残っていたらしく、髪の方は「今時見かけねえ二百三高地こうちでさあ。わしらが若い時分流行はやったハイカラさんでさあ」
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
人仕事ひとしごとなどをしたのであるが、つゞまやかにして、物綺麗ものぎれいに住んで、お辻も身だしなみく、髪形かみかたちを崩さず、容色きりょうは町々の評判、以前五百石取こくどり武家ぶけしかるべきひんもあつた
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おくさまのへやには、おおきなかがみがおいてありました。そうじをするときには、自分じぶん姿すがたが、そのこおりのようにつめたくひかるガラスのおもてにうつるので、ついらず、あたまへやって、髪形かみかたちなおしたのです。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
髪形かみかたちを変えること、眼鏡をかけること、含み綿をすること、それから又、『一銭銅貨』の中では、丈夫な歯の上に、夜店の鍍金めっきの金歯をはめる思いつきが書いてある。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
また口入くちいへいくにしても、髪形かみかたちがきれいであれば、いっそう、いいところへ世話せわをしてくれるにちがいないとかんがえて、かねて、一はいってみたいとおもった、美容院びよういんあるきながらさがしました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)