高雄たかお)” の例文
一時洛西高雄たかおに引移ってかねて覚えのある医者の看板を出したが、内外情勢を見てじっとしておれず、江戸、水戸、郷里福井に遊説し
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
嵯峨さがから山を抜けて高雄たかおへ歩く途中で、御米は着物のすそくって、長襦袢ながじゅばんだけを足袋たびの上までいて、細いかさつえにした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我が国の奈良の七大寺は荒れ果てているし、昔は堂塔が軒を並べていた愛宕あたご高雄たかお天狗てんぐのすみかになってしまった。
「いつかは、形を失う日が来る……。それを早めようとしているのが、叡山えいざんの人々だ、南都の大衆だいしゅだ、高雄たかおの一山だ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旭山の向うから、第二艦隊の『愛宕あたご』『高雄たかお』『那智なち』『妙高みょうこう』が出て来る。はるか遠くを水雷戦隊が進んで行く。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
そのすき目懸めがけて、摩耶まやを司令艦とする高雄たかお足柄あしがら羽黒はぐろなどの一万噸巡洋艦は、グングン接近して行った。まとねらうは、レキシントン級の、大航空母艦であった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
高雄たかお州商工課主催の座談会にて
台湾の民芸について (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「この奥の方に、高雄たかおという山寺があり、そこに住まわれる文覚上人というひじりは、鎌倉殿のご信任厚い僧で、何でも貴族の子をお弟子に欲しがっておられたようじゃよ」
高雄たかお栂尾とがのお明慧みょうえ上人である。この上人は、そこらにざらにあるいわゆる碩学せきがくとは断じてちがう。満身精神の人だった。学問の深さも並ぶ者がまずあるまいという人物だ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本艦隊の加古かこ古鷹ふるたか衣笠きぬがさ以下の七千トン巡洋艦隊は、その快速を利用し、那智なち羽黒はぐろ足柄あしがら高雄たかお以下の一万噸巡洋艦隊と、並行の単縦陣型たんじゅうじんけいを作って、刻々こくこくに敵艦隊の右側うそくねらって突き進んだ。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
高雄たかお、そのほか叡山なども、しゅとなって、吉水を敵視し、上人以下の念仏門の人々を、どうかして、おとれてやろうというくわだてがあることは、専ら世上の風説にもあるところでござります。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頼朝はここで二十余年の春秋を送り迎えた。これまで静かに流人の生活を送ってきた彼が、何故今年ことしになって兵を起し、平家に立ち向ったのか。それは高雄たかお山の文覚上人の勧めがあったからである。
ゆうべ高雄たかおの薬王院に草鞋わらじを解いた何処かの御隠居がある。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)