頭目かしら)” の例文
「美濃家の密使を案内して参りました。連れて来ますか。お頭目かしらからお運びになりますか。密使は、森の蔭に待たせておきましたが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくわたくしがあのとき天狗てんぐ頭目かしらいていただしたところにもとづき、ざっとそのおはなしをいたしてることにしましょう。
「さあ起きろ。頭目かしらのお呼びだ。おとなしくついてくるんだぞ」若い男が、そういって、牛丸の手首にがちゃりと手錠をはめた。牛丸は引立てられて、監房かんぼうをでた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二人の今夜の逢瀬おうせは、それで絶えて、それからの雪之丞は、心の中で、この世の鬼畜の頭目かしらと呪う三斎から、聴きたくもないほめ言葉を受けにゆく外はないのであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「スッパリと胸に落ちやした。それじゃ今日からお前さんは、我らの頭目かしらという訳だね?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小六の影を仰ぐと、日吉も、これはこの者どもの頭目かしらだなとさとったらしく、やや居住いずまいを改めて、じっとその顔を正視した。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうわたくしたずねますと、天狗てんぐ頭目かしらはいとど得意とくい面持おももちで、んなふう説明せつめいしてくれたのでした。——
頭目かしら。いったいどこへいってたんです。この二日というものは、頭目を探すので、大骨を折りましたぜ。しかも連絡はつかないじまい。骨折り損のくたびれもうけです」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「お頭目かしらッ。お頭目ッ。——甥御おいごの天蔵どのが、番の者を斬りすてて、逃げたと申しますぞッ。天蔵どのが逃げましたぞ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うしたところることもあるまいから、よくよくをつけて天狗界てんぐかい状況ようすをさぐり、また不審ふしんてんがあったら遠慮えんりょなく天狗てんぐ頭目かしらたずねてくがよいであろう……。
山東は済州さいしゅうこうに臨んだ水郷すいごうで、まわり八百里の芦荻ろてきのなかにとりでをむすぶ三人の男がいます。——頭目かしら王倫おうりんといい、その下には宋万そうまん杜選とせんと申して、いずれも傑物。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)