隣村りんそん)” の例文
村の学校が隣村りんそんの学校に合併されて、そこに尋常高等小学校の建つたのは、森文部大臣が殺されて、一二年も経つたころであつただらう。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
富「手前は隣村りんそんる山倉富五郎と申す浪人で、先生御在宅なれば面会致したく態々わざ/\参りました、是は此方様こなたさまへほんのお土産で」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人ふたり少年せうねんとまつたいへは、隣村りんそんにもだたる豪家がうかであつた。もんのわきにはおほきなひいらぎが、あをそらにそヽりたつてゐた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
きけば上新田村無量庵の庵主あんしゆとか申事もつとも水呑村より三里にちか隣村りんそんなれども此九郎兵衞もとより歸依きえなければ御ばうかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の容子は、これから又隣村りんそんまで行かねばならぬ事をすつかり忘れてゐるもののやうにも見えた。故意に出発の時刻を遅くしようとしてゐるのかとも見えた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
隣村りんそん平野村の名主なぬし甚左衞門は平澤村の甚兵衞名主のおととなるがこれも至つて慈悲じひふかきものにてお三ばゝまよ歩行あるく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
丁度明和めいわの元年に粂野美作守くめのみまさかのかみ高義公たかよしこう国替で、美作の国勝山かつやまの御城主になられました。その領内南粂郡東山村の隣村りんそん藤原村ふじわらむらと云うがありまして、此の村に母子おやこ暮しの貧民がありました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
失なひて殘念ざんねんなりと罵詈狂のゝしりくるひ歩行候ゆゑ甚兵衞も迷惑めいわくに存じ隱居所いんきよじよを追出せしにお三婆は宿やどなしとあひなりしを隣村りんそんの名主甚左衞門といふ者當村の名主なぬし甚兵衞がおとゝにて慈悲じひふかきひとにて是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)