トップ
>
鋪石
>
しきいし
ふりがな文庫
“
鋪石
(
しきいし
)” の例文
腐りかけた門のあたりは、二、三本
繁
(
しげ
)
った
桐
(
きり
)
の枝葉が暗かったが、門内には
鋪石
(
しきいし
)
など
布
(
し
)
かって、建物は往来からはかなり奥の方にあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
庭の
金木犀
(
きんもくせい
)
は風につれてなつかしい匂いを古びた寺の
室
(
へや
)
に送る。参詣者は朝からやってきて、駒下駄の音がカラコロと長い
鋪石
(
しきいし
)
道に聞こえた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それらの人びとは少しの音もさせずに自分たちの席につきましたが、その動いている時、
鋪石
(
しきいし
)
の上に靴の音もなければ
衣
(
きぬ
)
ずれの音もないのです。
世界怪談名作集:11 聖餐祭
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
玄關へ𢌞してゐるところで、私の主人は
鋪石
(
しきいし
)
の上を歩き𢌞り、パイロットは前になり後になりして、ついて𢌞つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
硬き
鋪石
(
しきいし
)
はまたアルメオンが、かの不吉なる
飾
(
かざり
)
の價の
貴
(
たふと
)
さをその母にしらしめしさまを示せり 四九—五一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
風が高い建物に当たつて、思ふ如く真直に抜けられないので、急に稲妻に折れて、頭の上から
斜
(
はす
)
に
鋪石
(
しきいし
)
迄吹き卸ろして来る。自分は歩きながら、被つてゐた山高帽を
文芸鑑賞講座
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お銀様はお君の手を取って引き立てるようにし、自分が先へ立ってお宮の前の
鋪石
(
しきいし
)
を歩きました。お銀様の挙動には、いつでもこんな気むずかしいことがあります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると、一つの石か、瓦か、
鋪石
(
しきいし
)
の破片のようなものの下の土の中に、小さな革製の
函
(
ケース
)
か嚢かの塵になったものと
雑
(
まじ
)
って、塵になってしまった紙が見つかったんだそうですよ。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
『で、残り物と云えば出口の
鋪石
(
しきいし
)
の上に賊どもが取り落して破したものらしいこんな象牙の破片が落ちていました。……どうです、ニコルさんとやら何とか見当が付きますかね?』
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
新吉には、いかにも晩の食卓が楽みらしく、勤に出て行くにも
張合
(
はりあい
)
のある姿だった。おときはそれが嬉しかった。格子の外に出て、
鋪石
(
しきいし
)
の上に靴の音が聞えたが、新吉は又戻って来た。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
凜冽
(
りんれつ
)
たる
朔風
(
さくふう
)
は門内の
凍
(
い
)
てた
鋪石
(
しきいし
)
の面を吹いて安物の
外套
(
がいとう
)
を
穿
(
うが
)
つのである。
新年雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
夜の街路を通りゆく
泥濘
(
でいねい
)
の箱車、
塵芥
(
ごみ
)
捨て場のきたない
樽
(
たる
)
、
鋪石
(
しきいし
)
に隠されてる地下の臭い
汚泥
(
おでい
)
の流れ、それらは何であるか? 花咲く牧場であり、緑の草であり、百里香や
麝香草
(
じゃこうそう
)
や
鼠尾草
(
たむらそう
)
であり
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ほのかにも瓦斯のにほひのただよへる勸工場の暗き
鋪石
(
しきいし
)
短歌
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
わが
門
(
かど
)
はヒマラヤ杉の朝月夜影がそよげり
鋪石
(
しきいし
)
のうへに
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
玄関の
鋪石
(
しきいし
)
のところから拾い上げて、
転
(
ころ
)
んだ子供をいたわるように
撫
(
な
)
でていましたが、それが鋪石に当って、多少の凹みが出来たことを惜しいものだと思っています。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同じやうに外套に包まれてゐるが
鋪石
(
しきいし
)
の上にカツ/\と鳴つたのは拍車をつけた靴の音です。そして見るとホテルのアアチ
型
(
がた
)
の正門を通つて行くのは帽子を被つた頭なんです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「君と僕とが落合うとはこれあ不思議な𢌞り合せだ。自分にそっくりの人間とここで二人だけでこの
鋪石
(
しきいし
)
の上に立っているなんて、君にとっても不思議な晩に違いないだろう?」
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
サン・バルテルミーのごときあらゆる非道は、
鋪石
(
しきいし
)
の間から一滴一滴とそこにしたたる。公衆の大虐殺は、政治上および宗教上の大殺戮は、この文明の地下道を通って、そこに
死骸
(
しがい
)
を投げ込んでゆく。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
わが
門
(
かど
)
はヒマラヤ杉の朝月夜影がそよげり
鋪石
(
しきいし
)
のうへに
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
このにほふ
鋪石
(
しきいし
)
はしろがねのうれひにめざめむ。
純情小曲集:02 純情小曲集
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
この
鋪石
(
しきいし
)
の上で、主膳はふと、さんざんに引裂かれた一つの
御幣
(
ごへい
)
の落ちているのを認めました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、その場所にはさっきのあの哀れな父親が
鋪石
(
しきいし
)
の上に俯向になってひれ伏していて、その傍に立っている人の姿は編物をしている一人の浅黒いがっしりした婦人の姿であった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
それとも正面の
鋪石
(
しきいし
)
の上を歩いてゐらつしやるかも知れない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それは
鋪石
(
しきいし
)
の上をはっていた。呼びかけたのはそれだった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
門内
遥
(
はる
)
かに相応ずる声がしたが、
鋪石
(
しきいし
)
をカランコロンと金剛を引きずる音がする。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鋪
漢検準1級
部首:⾦
15画
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
“鋪石”で始まる語句
鋪石道