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あいびき
ふりがな文庫
“
逢引
(
あいびき
)” の例文
六角堂に参詣するとか、
黒谷
(
くろだに
)
様に墓参のためとか言って、しげしげと
外出
(
そとで
)
あそばしたのは皆その女と
逢引
(
あいびき
)
するためだったのでしょう。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
お房は、路地の中で、誰かと
逢引
(
あいびき
)
するか誰かを待っていた筈だ——が、そのお房と逢引していた男がお房を殺した人間では無いよ。
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
悔いは、かれの良心をさいなんだが、お袖との
逢引
(
あいびき
)
は、苦しむほど、悪を伴なって
偸
(
ぬす
)
むほど、楽しさ、甘さを、深くした。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逢引
(
あいびき
)
をするつもりなら、街なかでも市立公園でも簡単にできるものを、わざわざよる夜中に、それもはるか郊外にある墓地を指定するなんていうことを
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さながら
逢引
(
あいびき
)
に出かけて行って、結局ひとりぼっちで、他人の幸福のそばを指をくわえて通ったような。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
▼ もっと見る
前の女房の眼を
掠
(
かす
)
めて福子と
逢引
(
あいびき
)
していた時代の、楽しいような、
懊
(
じ
)
れったいような、変にわくわくした、落ち着かない気分、———まああれぐらいなものなのだが
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
或る男女の
逢引
(
あいびき
)
をしているのを
覗
(
のぞ
)
きに行く段などを見て、そう思ったのであるが、その時の疑は、なんで作者がそういう処を、わざとらしく書いているだろうというのであって
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
勇「
己
(
おら
)
アいやだ、ハテナ昔から幽霊と
逢引
(
あいびき
)
するなぞという事はない事だが、
尤
(
もっと
)
も支那の小説にそういう事があるけれども、そんな事はあるべきものではない、伴藏嘘ではないか」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのへんからは土堤の左右に杉の古木が並木になり、上熊本駅へゆく間道で、男女の
逢引
(
あいびき
)
の場所として、土地でも知られているところだったが、三吉にはもはやおっくうであった。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
ドゥーニャがあの人の強いる
逢引
(
あいびき
)
や密談を断わるために、やむなく書いてあの人に渡した手紙で、それがドゥーネチカの出発後、スヴィドリガイロフ氏の手もとに残っていたのです。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そばに彼らと連れ立った二人の
神巫
(
かんなぎ
)
は、もう、花桐のそばにくると、指を反らせ、呪文のようなものを
称
(
とな
)
えはじめた。陰陽師は再び花桐にこれから後にも、男と
逢引
(
あいびき
)
するかどうかを尋ねた。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「その七割は
俺
(
おれ
)
のものだ。」また、商人は倉庫に満す物貨を集め、長老は貴重な古い
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
を
漁
(
あさ
)
り、
公達
(
きんだち
)
は緑したたる森のぐるりに早速縄を張り廻らし、そこを己れの楽しい狩猟と
逢引
(
あいびき
)
の場所とした。
心の王者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
重なる
逢引
(
あいびき
)
。ふと断ち切られたような別離。秋の夜の停車場。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
男と
逢引
(
あいびき
)
——そんな事も考えられないではありませんが、お春が居なければ、事を欠くのを承知で、留め置く人間もあるはずはなく、第一逢引のために
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ヤーシャ うちへ帰りなさい、川へ水浴びに行ったような顔をして、こっちの
小径
(
こみち
)
から行きたまえ。うっかり出くわそうもんなら、僕がさも君と
逢引
(
あいびき
)
してたように思われるからな。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
見とがめられる
惧
(
おそ
)
れがあるので、
逢引
(
あいびき
)
の男女が、たたずむように見せかけて、やり過ごそうとしたのですが、とたんに、抱きよせた娘の
袖裏
(
そでうら
)
から、月形の短刀がのびるよと見るまに
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の
後
(
のち
)
は
度々
(
たび/\
)
逢引
(
あいびき
)
するので、私はあれを
行
(
ゆ
)
く/\は女房に貰う積りでございます
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
辛辣な花桐の
朋輩
(
ほうばい
)
らも、しまいに持彦も官を免ぜられて浪々の身となってしまうであろう、そして花桐も殿中の勤めを辞めなければならぬようになる、しかも持彦の人もなげな
逢引
(
あいびき
)
は夜に限らず
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「娘は男におびき出されたんじゃありませんか、親父が留守になったんで、
逢引
(
あいびき
)
にはこの上もない時で——」
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
不図
(
ふと
)
した事から馴れ染め、人目を忍んで
逢引
(
あいびき
)
をして居ると、その婦人が懐妊したので
堕胎薬
(
おろしぐすり
)
を呑ました所、其の薬に
中
(
あた
)
って婦人は
達
(
たっ
)
ての
苦
(
くるし
)
み、虫が
被
(
かぶ
)
って
堪
(
たま
)
らんと云って、僕の所へ
逃出
(
にげだ
)
して来て
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は話しながら、こんなことを考えていた——今こうして自分は
逢引
(
あいびき
)
に行くところだが、人っ子一人それを知った者はないし、たぶんいつまでたっても知れっこはあるまい。彼には生活が二つあった。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
逢引
(
あいびき
)
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この手紙で見ると、新助とお駒は、ときどき
逢引
(
あいびき
)
していたようだが、お前さんは、知らなかったのかい」
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
泥棒は千両箱二つ盗って逃げた後へ、
逢引
(
あいびき
)
か何かの都合で、藤三郎とお仙が来たんだね。月明かりで見ると、土蔵に穴が明いている。中には千両箱が杉なりに積んである。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
逢
漢検準1級
部首:⾡
11画
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
“逢引”で始まる語句
逢引橋