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逃出
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にげいで
掛出さんとする
機番頭太藏は
眼を覺まし大音に
盜人々々と聲を立るゆゑ仁左衞門小猿は
逃出んとする所に大勢
追來りしかば
止を得ず三人程
切拂ひて其場を
其中、
姫の
目覺めしゆゑ、
天の
爲せる
業は
是非に
及ばず、ともかく
出てござれ、と
勸むるうちに、
近づく
人聲、
予駭き
逃出ましたが、
絶望の
餘にや、
姫は
續いて
參りもせず
三日四日に帰りしもあれば一夜居て
逃出しもあらん、
開闢以来を尋ねたらば折る指にあの
内儀さまが
袖口おもはるる、思へばお
峯は辛棒もの、あれに
酷く
当たらば
天罸たちどころに
盜み出さんとする
處に
主人九郎右衞門は目を
覺しヤレ
泥坊と聲を立しかば盜賊は
吃驚なし
用箪笥を
抱へて
逃出んとするを九郎右衞門
飛懸り
遁さじものをと押へるを