“辞退(じたい)” の例文
旧字:辭退
お豊(とよ)は何分(なにぶん)よろしくと頼んでお滝(たき)が引止(ひきと)めるのを辞退(じたい)して其(そ)の家(いへ)を出た。春の夕陽(ゆふひ)は赤々と吾妻橋(あづまばし)の向(むか)うに傾いて、花見帰りの混雑を一層引立(ひきた)てゝ見せる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
天皇は、もとからある不治のご病気がおありになりましたので、このからだでは位にのぼることはできないとおっしゃって、はじめには固(かた)くご辞退(じたい)になりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「せっかく、ご酒宴(しゅえん)のお招(まね)きをうけましたが、まだ身分の定(さだ)まらぬ浪人境界(ろうにんきょうがい)で、出席はおそれおおいと辞退(じたい)しましたので、手まえの屋敷(やしき)にのこしてまいりました」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内藤さんは拝領品(はいりょうひん)を平(ひら)に辞退(じたい)して、にげるように玄関へむかった。富田さんが待っていたので、また家令詰所(かれいつめしょ)というのへはいってしばらく打ちあわせをしているうちに
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
幸三(こうぞう)は、かつて、こんな自動車(じどうしゃ)に乗(の)ったことはありません。しかし、こういわれると辞退(じたい)しきれずに乗(の)りました。自分(じぶん)のそばには、青(あお)い労働服(ろうどうふく)を着(き)た少年(しょうねん)が腰(こし)をかけました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
富士男はひじょうにおどろいて百方辞退(じたい)したが規律(きりつ)なればいたしかたがなかった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
袁祁王(おけのみこ)はそのことだけはどこまでもご辞退(じたい)になりましたが、お兄上がどうしてもお聞きいれにならないので、とうとうしかたなしに、第一にお位におつきになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「私(わたし)は、まだ、お酒(さけ)を口(くち)にいれたことがありません。」と、辞退(じたい)しました。
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、辞退(じたい)した。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「僕(ぼく)、こんないいものいらない。」と、顔(かお)を赤(あか)くしながら辞退(じたい)しました。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)