足疾あしばや)” の例文
貫一はつと踏出して始の如く足疾あしばやに過行けり。宮は附人つきひとに面をそむけて、くちびるみつつ歩めり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つんぼひがみで、昨日悩まされた、はじめの足疾あしばやな女に対するむか腹立も、かれこれ一斉いっとき打撞ぶつかって、何を……天気は悪し、名所の見どころもないのだから、とっとっ、すたすた
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つんぼひがみの向腹立むかっぱらたちが、何おのれで、わたりをききも、尋ねもせず、足疾あしばやにずかずかと踏掛ふんがけて、二三間ひょこひょこ発奮はずんで伝わったと思うと、左の足が、ずぶずぶと砂に潜った。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
来かかる人あり、すれ違いて振向きたれば、立停りて見送るに、われ足疾あしばやに通り過ぎつ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御帰館おかえり——」と叫ぶにつれ、老婦人でて、式台に成らせたまえば、一同眼の覚めたる心地して、万歳をどっと唱え、左右にずらりと平伏するを、見向みむきもせで、足疾あしばや仏室ぶつまの内
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このいささかの音にも驚きたるさまして、足を爪立つまだてつつじっと見て、わなわなと身ぶるいするとともに、足疾あしばや樹立こだち飛入とびいる。。——懐紙かいしはし乱れて、お沢の白きむなさきより五寸くぎパラリと落つ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
声高こわだかに叫びざま、足疾あしばや進出すすみいでて、看護員のかたえに接し、そのおもてのぞきつつ
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
声高こわだかに叫びざま、足疾あしばや進出すすみいでて、看護員のかたえに接し、そのおもてのぞきつつ
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)