起臥きぐわ)” の例文
『実は発行所に起臥きぐわしてゐる高田浪吉君にも知らせなかつたのだから』といふやうなことも其時附加つけくはへたのであつた。夜ふけてから僕は家に帰つた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
これだけの建物の内に起臥きぐわしてゐるものは、家族でも学生でも、ことごとく平八郎が独裁のつゑもとうなじを屈してゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
卯平うへい天性清潔好きれいずきであつたが、百姓ひやくしやう生活せいくわつをして、それに非常ひじやう貧乏びんばふから什麽どんなにしてもきたないものあひだ起臥きぐわせねばならぬのでかれ野田のだくまではそれをも別段べつだんにはしなかつたのであるが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
病院びやうゐん小使こづかひ看護婦かんごふ子供等抔こどもらなどみな患者くわんじや病室びやうしつに一しよ起臥きぐわして、外科室げくわしつには丹毒たんどくえたことはい。患者等くわんじやら油蟲あぶらむし南京蟲なんきんむしねずみやからてられて、んでゐることも出來できぬと苦情くじやうふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)