貞操ていさう)” の例文
金持ちや貴族のあひだでは、男は概して、女ほど貞操ていさうを守らない。しかし、母や妻である女が、純潔に生涯を送ることは最も確実である。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
自ら不良少女と名乘なのることによつてわずかになぐさんでゐる心のそこに、良心りやうしん貞操ていさうとを大切にいたわつているのを、人々は(こと男子だんしおいて)
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
其方共儀むこ夫等をつとら災難さいなんを歎き艱難辛苦かんなんしんくの上公儀巡見使じゆんけんしうつたへ出申立明了あきらかなるにより善惡判然と相あらはれ九助の寃罪ゑんざいそゝぎし信義しんぎ貞操ていさうの段厚くほめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ロミオ はて、そのねらひはづれた。戀愛神キューピッド弱弓よわゆみでは射落いおとされぬをんなぢゃ。處女神ダイヤナとくそなへ、貞操ていさうてつよろひかためて、こひをさな孱弱矢へろ/\やなぞでは些小いさゝか手創てきずをもはぬをんな
唱へながら引かれしとぞ此時お熊のたるより世の婦女子ふぢよしぢやうは不義のしまなりとてきらひしはたはれ事の樣なれども貞操ていさうこゝろともいふべし然るを近來ちかごろ其事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)