豪雨ごうう)” の例文
昨夜ゆうべ豪雨ごううは幸にからりれて、道も大抵乾いて居る。風が南からソヨ/\吹いて、「諸行無常」「是生滅法」の紙幟はたがヒラ/\なびく。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さてその内に豪雨ごううもやんで、青空が雲間くもまに見え出しますと、恵印は鼻の大きいのも忘れたような顔色で、きょろきょろあたりを見廻しました。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
雷鳴がおさまるとともに風がおこり、しだいに猛威もういを加え、あまつさえぼんをくつがえす豪雨ごううとなった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
突然、物凄ものすごい電光と同時に、天地の揺らぐような雷鳴。……あたりはみるみるうちに暗くなった。はげしい豪雨ごううが降り出した。男女の群集、恐怖の声を上げて、消え失せる。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
いま、さしもの豪雨ごううもやんで、空は瑠璃るりいろにんできたが、眼下ははてしもない雲の海だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源吉げんきち龍夫たつお二人ふたりが、豪雨ごううあとのこと、いまにもギイギイとって、水勢すいせいのためにながされそうなはしのたもとで、水面すいめんつめていると、いくつもあかいトマトがきつしずみつしてきました。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
蠅が急に壁の上にえたのは、先刻さっき豪雨ごううがあってから、こっちのことだ。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
十七日の明け方からさしもの豪雨ごううもようやく小降りになり、風速もしだいにおとろえはじめた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
と思うまもなく、車軸しゃじくを流すような豪雨ごううとなった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)