豈夫まさか)” の例文
『智恵子さんとこ被行いらしつたのか知ら!』といふ疑ひを起した。『だつて、夜だもの。』『然し。』『豈夫まさか。』といふ考へが霎時しばし胸に乱れた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
且つ俺のやうな四つ足の分際ではちつと生意気な言分だが、伊太利も豈夫まさかにウヰダやロンブロゾが舌を吐いて論ずるほど疲弊してもおるまいが
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
うなツてしまうのだらう、豈夫まさか消えて了うのでも無からうけれども、何處どこへ行くんだらう。げるツたツて、逃口にげぐちふさいであるのだから、其樣な事は無いはずだ。」
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
が、そこまでは豈夫まさかに思い切れなかった。人生は無意味ノンセンスだとは感じながらも、俺のやってる事はうそだ、何か光明の来る時期がありそうだとも思う。要するに無茶さ。だから悪い事をしては苦悶する。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
みでは豈夫まさかおもふんです。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
紅葉は豈夫まさかに三円五十銭やそこらのものを買えないほど窮していなかったが、こういう馬鹿々々しい誤聞が伝わるのも万更まんざらでないほど切詰めた生活であった。
豈夫まさか? 神山さんの口にや戸がてられない。』と言つて、何を思つてか膝を搖つて大きく笑つた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
世間からは私までが夜叉やしやのやうに謂はれる、私がまた其れが死ぬよりもらかツたんですけれども、これがゐてゝ見りや、貴方、豈夫まさかに別れることも出來ないじやありませんか。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そりやうですけれども、うちにゐらツしツて見れば、豈夫まさかお先へ戴くことも出來ないぢやありませんか。加之しかもビフテキを燒かせてあるのですから、あつたかうち召喫めしあがツて頂戴な。ね、貴方あなた
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
豈夫まさか! 信吾さんたら眞箇ほんとに人が惡い。』と何故か富江は少しつゝましくしてゐる。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
豈夫まさか! 信吾さんたら真箇ほんとに人が悪い。』と何故か富江は少しつつましくしてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
豈夫まさか星光ほしひかりではあるまいと思ツて見てゐると、たしかに星光では無い。螢の光だ。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「だつて、夜だもの。」「然し。」「豈夫まさか。」といふ考へが霎時しばし胸に亂れた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
豈夫まさかパレツトを看板かんばんにしてフリ賣もして歩けないじやないか!
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
豈夫まさかに螢狩とにもへぬから、どぎまぎしてゐると
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
豈夫まさか! 神山さんの口にや戸がてられない。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
豈夫まさかン出す氣も無いのだからたしかうでない。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)