たばか)” の例文
斯様のたばかりにあひ日本に渡り候四人の伴天連同宿共第一のたわけ者、異国にても人に勝れたるたわけ者ゆゑ、かくの如くに候儀は日本国御名誉誰か是を
書物などにも眼をさらすようすではござりますが、それは世人をたばかる方便にて、まことは博奕ばくち喧嘩けんかを好み、その徒数百人を抱えて良民を苦しめおる事実が数多くござります
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
扨は彼奴かやつも相談に乗っているのではないか、それにつけても頼むまじきは人心じゃ、急ぎ兵部奴をたばかり寄せて、腹を切らせよとの仰せでござったが、そこを某が執り成して
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
われまことなんじたばかられて、いぬる日人間ひとの家に踏み込み、いた打擲ちょうちゃくされし上に、裏のえんじゅつながれて、明けなば皮もはがれんずるを、この鷲郎に救ひいだされ、危急あやうき命は辛く拾ひつ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
くはだつるには金子きんすなくてはかなふまじと此度金七百兩をかすめ取り出奔しゆつぽんなし船頭杢右衞門もくゑもんたばかりて天神丸の上乘うはのり不慮ふりよの難にあひて此處まで來れる事の一伍一什いちぶしじふ虚實きよじつまじへて語りければさしもの兩人も舌を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
呼出しの上夫々相當の過料くわれう申付らるかくて天一坊一けん善惡ぜんあく邪正じやせい明白に決斷けつだん相濟み落着らくちやくとなりければ此段このだん上聽じやうちやうたつしける將軍家の上意にもし越前ゑちぜん無ば彼惡僧にたばかられん者と深く御稱美ごしようび有て三州額田郡ぬかたごほり西大平にしおほひらに於て一萬石加増仰付られ越前守是迄の心勞しんらう一方ならざりしも其甲斐そのかひありて愁眉しうび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)