誅伐ちゅうばつ)” の例文
そのひとの遺志をついで、南朝方に降り、尊氏や義詮を敵として誅伐ちゅうばつするのが何の不思議であろうやと、豪語を放ったことであろう。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下民を苦しめそうろう諸役人をみな誅伐ちゅうばついたし、ひき続いてきょうに長じ居候市中金持の町人どもを誅戮ちゅうりくに及び申すべく、とか。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「それに致しましてもかかる逆臣を、誅伐ちゅうばついたそうと心掛くる人、一人もないとは歯痒き限り!」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
相馬将門そうままさかど威を東国に振い、藤原秀郷ひでさと朝敵誅伐ちゅうばつの計策をめぐらし、この神の加護によって将門をほろぼしたので、この地にいたり、喬々きょうきょうたる杉の森に、神像をあがまつったのだとある。
信仰が、剣をもって誅伐ちゅうばつすることを最後までゆるさなかったのではなかろうか。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「然る処、氏直天道の正理にそむき、帝都に対して奸謀を企つ。いずくんぞ天罰を蒙らざらんや。古諺に曰く、巧詐は拙誠に如かずと。所詮普天の下勅命に逆ふともがらは、早く誅伐ちゅうばつを加へざるべからず云々」
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
願わくば、乱将義貞誅伐ちゅうばつの勅許をたまわりたい。つくすべき忠も、荼毒とどくの輩が君のかたわらにはびこっていたのでは捧げようもない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがしかも、尊氏誅伐ちゅうばつ宣旨せんじを南朝から申しうけて、公然と、義父直義ただよしあだともとなえているのである。小癪こしゃくとも何とも言いようはない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして自身はなお幽州へ進攻して、袁煕えんき袁尚えんしょうのふたりを誅伐ちゅうばつすべく準備に怠りなかったが、その間にまず袁譚の首を、城の北門にけて
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまり尊氏を東国に、義詮よしあきらを京都に、それぞれ分断して同時に誅伐ちゅうばつする両刃りょうばのはかりごとを考えていたのであった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
劉虞はちょうど、中央の命令で、漁陽に起った乱賊を誅伐ちゅうばつにゆく出陣の折であったから、大いによろこんで
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高廉こうれん高廉。——高俅こうきゅう一門の悪代官高廉はどこにいるか。これは天に代って当今の悪官人どもを誅伐ちゅうばつに来た天軍だ。手間ひまかけず、素ッ首をわれらに渡せ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桟道さんどうけんで野心家の魏延ぎえん誅伐ちゅうばつした楊儀も、官をがれて、官嘉かんかに流され、そこで自殺してしまった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「かたちは、さもあれ、名分めいぶんの上においてはだ。あくまで、わが足利家は新田を誅伐ちゅうばつするものと世上へとなえろ。——和氏かずうじからも、その義貞弾劾の件は、聞いたであろうが」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿論、曹操の胸にも、いつか誅伐ちゅうばつの時をと誓っているのは、呂布という怪雄の存在であった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その罪をただし、誅伐ちゅうばつの兵をひいて、信長自身、参ろうと存ずる。各〻の考えはどうあるか
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
直ちに、淮南へ出兵し、偽帝袁術を誅伐ちゅうばつせよ。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)