許褚きょちょ)” の例文
曹操の峻烈な命は、すなわち許褚きょちょへ下った。大袈裟にも、許褚は万一を思って、親衛軍中の屈強五百騎をひきいてそれを追いかけた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中には、虎痴こち許褚きょちょをはじめとして、夏侯淵、徐晃、曹洪などの曹軍中の驍将ぎょうしょうはことごとく出揃っている。馬超は、ぎょッとして
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは自分を励ました声と、許褚きょちょは彼のそばを去るや否、馬をとばして、そこへ馳けつけ、叫喚きょうかん一声、血漿けっしょうけむる中へ躍り入った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いと易いこと。それがしに精兵五万をおさずけ下さい。呂布の首と、玄徳の首を、鞍の両側に吊るし帰って来ます」と、許褚きょちょがいった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と聞いて、河北軍も、うかつには寄らなかったが、一夜、曹操の中軍前衛隊の許褚きょちょが、闇に乗じて、味方を奇襲してきたので
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泰山たいざん大盗だいとう孫観そんかん呉敦ごとんをはじめ、馬首をそろえて、彼へ喚きかかってきたが、一人として許褚きょちょの前に久しく立っていることはできなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また次なる張遼、許褚きょちょ李典りてん楽進がくしんともがらは勇においてすぐれ、その勇や万夫不当ばんぷふとう、みな千軍万馬往来の士である。なお見よ。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「すわ。一大事」と、許褚きょちょは躍り上がって、曹操のそばへ馳けつけ早く早くとうながしたが、事の急に、いきなり曹操の体を背中へ負ってしまった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中には、張遼ちょうりょうだの許褚きょちょのごとき物騒な猛将も交じっていた。馳足の行軍中、蒋奇の前後にはいつのまにかそういう面々が近づいていたのであった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱軍のそうを呈しかけたしおに、魏の許褚きょちょは、刀を舞わして周泰、韓当を退け、辛くも曹操を救い出して、中軍へ帰った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹仁、李典、夏侯惇かこうじゅん楽進がくしん、張遼、許褚きょちょ、——などの陣々騎歩もすべてその方向を一にして、長坂坡ちょうはんはへ迫って来た。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「知らないか、田舎漢いなかもの、予の側には常に、虎痴許褚きょちょという猛将がおることを。——なんで天下の鼠をはばかろうや」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
急に引っ返しかけたが、それと共に、左に敵の徐晃、右には許褚きょちょの伏軍がいちどに起って、彼の退路をふさいだ。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるで材木かいのこでも引っぱるように、熊手や鈎棒かぎぼうでわいわいと兵たちが許褚きょちょの体を大地に摺って連れて来たので
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
許褚きょちょは、悪びれもせず、始終、笑顔で語っていた。曹操は、死を与える代りに、恩を与えた。もちろん許褚はよろこんで、その日から彼の臣下になった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五千の偽装兵をしたがえ、張遼、許褚きょちょを先手とし、人はばいをふくみ馬は口をろくし、その日のたそがれ頃から粛々しゅくしゅくと官渡をはなれて、敵地深く入って行った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隊伍は紛裂ふんれつし、士気はととのわず、思い思いの敵と駈けあわすうち、敵の東のほうからは張遼ちょうりょうの一陣、西のほうからは許褚きょちょ、南からは于禁うきん、北からは李典。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
許褚きょちょは、その報を、受けるやいな、自身、当って見ると称して、手勢三千を率いて、深々と前進してみた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに、張遼ちょうりょうの大兵、許褚きょちょの猛部隊も、彼を生け擒りにせんものと、大雨のごとく野を掃いて追ってきた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏侯惇かこうじゅん夏侯淵かこうえん曹仁そうじん曹洪そうこうなど直臣じきしん中の直臣は、それぞれ将軍にのぼり、楽進がくしん李典りてん徐晃じょこうなどの勇将はみな校尉に叙せられ、許褚きょちょ典韋てんい都尉といに挙げられた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
許褚きょちょは、見事なる敵将の呂布を見かけると、自分までがはなはだしく英雄的な精神をたかめられた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一族の曹真は、このときも先鋒に当り、張遼、張郃ちょうこう文聘ぶんぺい、徐晃などの老巧な諸大将がそれを輔佐し、許褚きょちょ呂虔りょけんなどは中軍護衛として、皇帝親征の傘蓋さんがい旌旗せいきをまん中に大軍をよせていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)