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裂帛
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れっぱく
ふりがな文庫
“
裂帛
(
れっぱく
)” の例文
早くも
裂帛
(
れっぱく
)
の気合とともに、ピシーリ。圓生の手の白い碁石が小圓太のほうへ投げつけられていた。危うく碁石は耳許を
掠
(
かす
)
って後へ落ちた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
で、何かいい出しそうにじッ! とおさよを見すえた
刹那
(
せつな
)
!
裂帛
(
れっぱく
)
の叫び声がどこからともなく尾をひいて陰々たる屋敷うちに流れると……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
裂帛
(
れっぱく
)
の美声を放って、さッと玉散る
刄
(
やいば
)
を抜いて放つと、
双頬
(
そうきょう
)
にほのぼのとした紅色を見せながら、
颯爽
(
さっそう
)
として四人の者の方ににじりよりました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と息を計った吉祥房の
容子
(
ようす
)
は、前の阿念とは段違いの身ごなし。新九郎も充分に大事を取って、ヤッと
裂帛
(
れっぱく
)
の息を打ち合せて左右に跳び別れた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「馬鹿め!」と
裂帛
(
れっぱく
)
の女の声! どうやら
頭
(
かしら
)
の弁天松代が、一ツ橋家の武士どもに、目付かって包囲されたらしい。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
それに
魘
(
おび
)
えて狂いまわる
猿輩
(
さるども
)
の
裂帛
(
れっぱく
)
の叫び……呑気な羊や、
鶏
(
とり
)
の類までも眼を醒して、声を限りに啼き立て、
喚
(
わ
)
めき立てている。その闇黒の騒がしさ……モノスゴサ……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ピシリッと
裂帛
(
れっぱく
)
の音がした。だんだら染めの美女が、
獅子
(
しし
)
使いのむちで宙を打ったのだ。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と
裂帛
(
れっぱく
)
の気合をかけた。不意を喰って見物も驚いたが、狼もよほど吃驚したらしい、また来たかという眼付をしていたが急にぴっと耳を立てる、とっとっとっと、矢来の中を走りはじめた。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この
裂帛
(
れっぱく
)
の
気魄
(
きはく
)
は
如何
(
いかん
)
。いかさまクライストは大天才ですね。その第一行から、すでに天にもとどく作者の太い火柱の情熱が、私たち凡俗のものにも、あきらかに感取できるように思われます。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
時の将軍源義家朝臣は南殿に
宿直
(
とのい
)
しており、御悩みの刻限にいたるや弓弦を三度響きわたらせると、高声で、「
前陸奥守
(
さきのむつのかみ
)
源義家」と名乗ると、弓勢に劣らぬ
裂帛
(
れっぱく
)
の気勢は聞く者の身が総毛立ち
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
裂帛
(
れっぱく
)
の叫び声が私の耳もとで叫ばれた。見ると、弥生子は顔を両手の中に埋めている。牛が馬か人かを突き殺したと思ったのだろう。しかし、誰もそんな初心な見物人を問題にする者はなかった。
闘牛
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
裂帛
(
れっぱく
)
の叱声が夜の道に散ったと同時で、ぎらりと
銀蛇
(
ぎんだ
)
が閃いたかと思われましたが、まことに胸のすく殺陣でした。
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「えい!」と云う
裂帛
(
れっぱく
)
の声、紋太夫の口から
※
(
ほとば
)
しると見るや、
傴僂
(
せむし
)
の老人の小さい体は、幾十丈幾百丈、底の知れない穴の中へもんどり打って蹴落とされた。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と身をひねって横に
薙
(
な
)
ぐ。はッと風を切って木剣が横一文字、新九郎はその勢いの浪に浮かされた如くフワリとなったかと思うと、エイッという
裂帛
(
れっぱく
)
の声を頭上に聞いて投げつけられた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの森の中には、動物園が在る。きあっと、
裂帛
(
れっぱく
)
の悲鳴が聞えた。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と
裂帛
(
れっぱく
)
の掛け声掛かるや、大いなる
蝙蝠
(
こうもり
)
天井に向かって
翩翻
(
へんぽん
)
として飛んだかと見えたが、これぞ上州
花隈
(
はなくま
)
の城主戸沢山城守直伝の秘法すなわち天狗飛切りの術。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
裂帛
(
れっぱく
)
一声、身を剣につれて、飛弾の如く玄蕃の鬢のあたりへさッと飛んだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と見て、残った二人が必死に逃げのびようとしたのを、
裂帛
(
れっぱく
)
の一声!
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
裂帛
(
れっぱく
)
のように響き渡り、坊主之助の右の手が頭上に閃めくと思う間にさながら一本の棒のように続いて飛び来る十個の
飛礫
(
つぶて
)
! 小太刀潜入飛燕の術もこの手練には施す術なく
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
四絃の一声
裂帛
(
れっぱく
)
のごとし
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
サーッと一躍左へ飛び、「エイ!」と掛声!
裂帛
(
れっぱく
)
の
呼吸
(
いき
)
! 懐刀をまたもや一揮した。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その笑い声が途絶えた刹那またも
裂帛
(
れっぱく
)
の掛け声がした。矢走りの音、弦返りの響き。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、桂子は
裂帛
(
れっぱく
)
のように叫んだ。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“裂帛”の意味
《名詞》
裂 帛(れっぱく)
絹、布を引き裂くこと。
布を引き裂くような叫び声。女性の悲鳴、剣豪の雄叫び、鳥の鳴き声などを形容する。「裂帛の気合」など
(出典:Wiktionary)
裂
常用漢字
中学
部首:⾐
12画
帛
漢検1級
部首:⼱
8画
“裂帛”で始まる語句
裂帛的