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袢纏
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はんてん
ふりがな文庫
“
袢纏
(
はんてん
)” の例文
藤次郎はお店の
袢纏
(
はんてん
)
を着て、新しい麻裏を履き、紺の匂いをプン/\させて居りました。お悔やみかた/″\手伝いに来たのでしょう。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
戸棚を細目にあけてそう言ったのは、二、三日前の晩、
袢纏
(
はんてん
)
を
紐
(
ひも
)
でしばって着てきて、台所で叱られていた女だった。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
百余名の腕利きの川並が水防組の揃いの
袢纏
(
はんてん
)
で、川中に繋いだ幾組かの筏の上へ陣取る、式が済むと一斉に
件
(
くだん
)
の筏の縄を切る、角材はバラバラと崩れる。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
銀座尾張町の四辻で電車を待っていたら、
袢纏
(
はんてん
)
着の男がビラを一枚
呉
(
く
)
れた。活動の引き札かと思ったら大違い。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
煽
(
あふ
)
るやうに車台が動いたり、土工の
袢纏
(
はんてん
)
の裾がひらついたり、細い線路がしなつたり——良平はそんなけしきを眺めながら、土工になりたいと思ふ事がある。
トロツコ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
凧の種類には扇、
袢纏
(
はんてん
)
、
鳶
(
とび
)
、
蝉
(
せみ
)
、あんどん、
奴
(
やっこ
)
、
三番叟
(
さんばそう
)
、ぶか、
烏
(
からす
)
、すが凧などがあって、主に細工物で、扇の形をしていたり、蝉の形になっていたりするものである。
凧の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
それでも京伝は、一行も書き始めないうちでよかった、というような気がしながら、お菊が去ると間もなく、
袢纏
(
はんてん
)
を羽織に換えて、茶の間兼用になっている客間へ顔を出した。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
若者は、宵の口から、藁製の
雪沓
(
ゆきぐつ
)
を
穿
(
は
)
き、その下にかつちき(
樏
(
かんじき
)
の義)を著けて湖上へ出かける。綿入を何枚も重ねた上に厚い
袢纏
(
はんてん
)
を纏ふのであるから、体は所謂着ぶくれになる。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
土地の芸者が
浴衣
(
ゆかた
)
を重ねた素肌の袷に
袢纏
(
はんてん
)
を引掛けてぶらぶら歩いている。中には島田をがっくりさせ細帯のままで
小走
(
こばしり
)
にお湯へ行くものもあった。箱屋らしい男も通る。稽古三味線も聞える。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
学校へ行く私が、
黒繻子
(
くろじゆす
)
の
襟
(
えり
)
の懸つた、茶色地に白の
筋違
(
すぢか
)
ひ
雨
(
あめ
)
と
紅
(
べに
)
の蔦の模様のある
絹縮
(
きぬちゞみ
)
の
袢纏
(
はんてん
)
を着初めましたのは、
八歳
(
やつつ
)
位のことのやうに思つて居ます。私はどんなにこの袢纏が嫌ひでしたらう。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
寝巻の上に引っかけたらしい
袢纏
(
はんてん
)
や、血に濡れた素足などを見ると、
暁方
(
あけがた
)
小用に起きて、ここで不意にやられたものでしょう。
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
禿頭
(
はげ
)
の
親爺
(
おやじ
)
がピンピンして頑張っておりましたので……その
親父
(
おやじ
)
が引いてくれた
魚類
(
さかな
)
の
荷籠
(
めご
)
に
天秤棒
(
ぼおこ
)
を突込んで、
母親
(
かかさん
)
が洗濯してくれた
袢纏
(
はんてん
)
一枚、
草鞋
(
わらじ
)
一足、
赤褌
(
あかべこ
)
一本で
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
袢纏
(
はんてん
)
を出しとくなはれ、早う頼みます。」
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「暮しが良いか悪いかは知らないが、ろくな
袢纏
(
はんてん
)
一枚無いぜ、戸棚の中だって、味噌と塩と沢庵が少しあるっきりさ。ろくな膳も無い始末だ」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌る日になると酔うた影も見せずにキチンと商売を初めるんだ。絹ずくめの振袖でも十両仕立ての
袢纏
(
はんてん
)
でもタッタ一度で泥ダラケにして惜しい顔もせずに着棄て脱ぎ棄てだ。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「出刃庖丁は伝吉のだし、流し元は血だらけだし、
袢纏
(
はんてん
)
はプンと
腥
(
なまぐさ
)
いぜ。魚の血だか、人間の血だか解ったものじゃない」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
着物は確かに寝巻、それに
袢纏
(
はんてん
)
を引っかけて、一度寝たのが、又何んかの用事で起出したという恰好です。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あわてて
袢纏
(
はんてん
)
を引っかけて、
襟
(
えり
)
も
裾
(
すそ
)
も合ってはいませんが、他には別に不審の
廉
(
かど
)
もなかったのです。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あんな浅ましい図に比べりゃ、腐った
袢纏
(
はんてん
)
の一枚や二枚流したって惜しいとは思わねえ」
銭形平次捕物控:074 二度死んだ男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後ろから袖を押えるように、続いて庭先に出たのは、三十を少し越したかと思う、美しい年増、襟の掛った
袢纏
(
はんてん
)
を引っかけて、眉の跡青々と、紅を含んだような唇が、物を言う毎に妙になまめきます。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“袢纏”の解説
袢纏(はんてん)とは、羽織に似ているが、わきに襠 (まち) がない、丈の短い上着。胸ひもをつけず、襟を折り返さないで着るもの。袢天、半纏、絆纏とも書く。
(出典:Wikipedia)
袢
漢検1級
部首:⾐
10画
纏
漢検準1級
部首:⽷
21画
“袢”で始まる語句
袢纒
袢天
袢衿
袢天著