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袋戸
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ふくろど
ふりがな文庫
“
袋戸
(
ふくろど
)” の例文
そうして
袋戸
(
ふくろど
)
に張った新らしい銀の上に映る幾分かの緑が、
暈
(
ぼか
)
したように淡くかつ
不分明
(
ふぶんみょう
)
に、
眸
(
ひとみ
)
を誘うので、なおさら運動の感覚を
刺戟
(
しげき
)
した。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新富町
(
しんとみちょう
)
の焼けた
竹葉
(
ちくよう
)
の本店には
襖
(
ふすま
)
から
袋戸
(
ふくろど
)
や
扁額
(
へんがく
)
までも寒月ずくめの寒月の
間
(
ま
)
というのが出来た位である。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ト
荒果
(
あれは
)
てたが、書院づくりの、
床
(
とこ
)
の
傍
(
わき
)
に、あり/\と
彩色
(
さいしき
)
の残つた絵の
袋戸
(
ふくろど
)
の入つた棚の上に、
呀
(
やあ
)
! 壁を
突通
(
つきとお
)
して
紺青
(
こんじょう
)
の
浪
(
なみ
)
あつて月の輝く如き、表紙の
揃
(
そろ
)
つた
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
張り切つた残酷な大きな力が、何等の省慮もなく、張り切つた小さな力を抱へてゐた。彼はわなゝく手を
暗
(
やみ
)
の中に延ばしながら、
階子段
(
はしごだん
)
の下にある
外套掛
(
ぐわいたうか
)
けの
袋戸
(
ふくろど
)
の
把手
(
ハンドル
)
をさぐつた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
チャンと
済
(
すま
)
して
貰
(
もら
)
い
度
(
た
)
しと無慈悲の借金取めが朝に晩にの
掛合
(
かけあい
)
、返答も力
無
(
な
)
や
男松
(
おまつ
)
を離れし
姫蔦
(
ひめづた
)
の、
斯
(
こう
)
も世の風に
嬲
(
なぶ
)
らるゝ
者
(
もの
)
かと
俯
(
うつむ
)
きて、横眼に
交張
(
まぜば
)
りの、
袋戸
(
ふくろど
)
に
広重
(
ひろしげ
)
が絵見ながら
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
店と奥の境の
袋戸
(
ふくろど
)
をのぞいて、
行燈
(
あんどん
)
を出しかけた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでにだだっ子である以上は、喧嘩をする勢で、むっくと
刎
(
は
)
ね起きた主人が急に気をかえて
袋戸
(
ふくろど
)
の腸を読みにかかるのももっともと云わねばなるまい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妻君が
袋戸
(
ふくろど
)
の奥からタカジヤスターゼを出して卓の上に置くと、主人は「それは
利
(
き
)
かないから飲まん」という。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鼬の町井さんはやがて紅白の梅を二枝
提
(
さ
)
げて帰って来た。白い方を
蔵沢
(
ぞうたく
)
の竹の
画
(
え
)
の前に
挿
(
さ
)
して、
紅
(
あか
)
い方は太い
竹筒
(
たけづつ
)
の中に投げ込んだなり、
袋戸
(
ふくろど
)
の上に置いた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
袋
常用漢字
中学
部首:⾐
11画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
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