衆人しゅうじん)” の例文
大講会だいこうえの空を飛行ひこうして、試合しあいの心をみだす奇怪きかいな女を、拙者せっしゃ一火流いっかりゅう砲術ほうじゅつをもってち落とし、かく衆人しゅうじんのさわぎを取りしずめたものを
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真犯人しんはんにん戸浪三四郎は、目立たぬおやじに変装したり、美人に衆人しゅうじんの注意を集めその蔭にかくれて犯罪を重ねた、いいですね」
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いわんやその国に一個の首領しゅりょうを立て、これを君としてあおぎこれを主としてつかえ、その君主のために衆人しゅうじんの生命財産をむなしうするがごときにおいてをや。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「なるほどそう言われて見ればちょっと理屈があるようだけれども、これはあえて私一人が認めて居るだけではない。衆人しゅうじんがそう認めて居るのである。」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其の罪を千代に塗付けようとした浅ましい心の迷い、それを權六が存じて居りながら、罪を自分の身に引受けて衆人しゅうじんを助けようという心底、実に感心致しました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
日本に作っている芍薬しゃくやくは、中国から伝わったものであろう。今は広く国内に培養ばいようせられ、その花が美麗びれいだから衆人しゅうじんに愛せられる。中国では人に別れる時、この花を贈る習慣がある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
それが一歩を進めると、衆人しゅうじんの前に出るのを恐れるようになり、いわゆる気弱きよわとなる。また胃弱者いじゃくしゃのごときもまた同じく、気が始終苛々いらいらし、つねに人と交際するのをわずらわしく思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
衆人しゅうじんめぐり見る中へ、其の姿をあの島の柳の上へ高くあらわし、大空に向つてはいをされい。祭文さいもんにも歌にも及ばぬ。天竜てんりゅう、雲をり、らいを放ち、雨をみなぎらすは、明午みょうごを過ぎてさる上刻じょうこく分毫ふんごうも相違ない。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
心貫流しんかんりゅう丸目文之進まるめぶんのしんだろう。イヤ、吉岡流よしおかりゅう祇園藤次ぎおんとうじだろう。なアに諸岡一羽もろおかいちうなら慈音じおんとちょうどいい勝負、などと衆人しゅうじん下馬評げばひょうからして、このほう活気かっきが立つ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文「わし衆人しゅうじんと附合うが、お前のような強い人に出会ったことはない、どうも強いねえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またボウズグサ、ホトケグサ、ヘビクサ、ドクグサ、シビトバナなどの各地方言があるが、みなこの草を唾棄だきしたような称で、畢竟ひっきょう不快なこの草の臭気しゅうき衆人しゅうじんきらうから、このように呼ぶのである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「こういうおりがまたとあろうか。鐘巻一火かねまきいっか秘技ひぎ衆人しゅうじんに知らしめるのは、この時だ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)