血路けつろ)” の例文
療醫の見込も膏氣あぶらけ増長いたし血路けつろを塞循環じゆんくわん致候故、痛所も出來、もし脉路を塞ぎ脈路やぶれ候節は、即ち中風と申ものに候由。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
七人のかげが流れ矢をくぐってそとへとびだし、いっぽうの血路けつろを斬りひらく覚悟で、うらの土塀どべいによじ登ろうとすると
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
保吉は絶体絶命ぜったいぜつめいになった。この場合唯一ゆいいつ血路けつろになるものは生徒の質問に応ずることだった。それでもまだ時間が余れば、早じまいをせんしてしまうことだった。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それでも彼はなお一方の血路けつろを求めて、ある人家の屋根へ攀登よじのぼった。茅葺かやぶき板葺こけら瓦葺かわらぶきの嫌いなく、隣から隣へと屋根を伝って、彼は駅尽頭しゅくはずれの方へ逃げて行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
飛び込んで来い! 叩っ切る! かなわぬまでも防いで見せる! そうして一方の血路けつろをひらき、この屋敷から逃げて見せる! ——民弥は民弥で決心を固め、四方へ眼を配ったが、敵は大勢
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
俗に云う鼻掴はなつまみの世の中に、ただペルリ渡来の一条が人心を動かして、砲術だけは西洋流儀にしなければならぬと、わば一線いっせん血路けつろが開けて、ソコで砲術修業の願書でおだやかに事が済んだのです。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そうしてまたあやう血路けつろを開いた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
血路けつろは一つ
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
卜斎ははやくも観念かんねんして、かざりをとった陣刀じんとう脇差わきざしにぶっこみ、りゅうッ——とくがはやいか、その槍襖やりぶすまの一かくへ、われから血路けつろをひらきに走った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するといっぽうの急坂きゅうはんからも、血路けつろをひらいた卜斎ぼくさいが、血刀ちがたなを引っさげてこの磯へ目ざしてきたので、ふたりは前後ぜんごになって磯の岩石がんせきから岩石を飛びつたい、やがて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)