蝋梅ろうばい)” の例文
一二月いちにがつころのような小枝こえだに、黄色きいろはなけたり、また蝋梅ろうばいのようにもっとはやゆきなかかをりたかくほこるものもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「お床間が淋しくはないかと存じまして、ちょうど蝋梅ろうばいが咲きはじめましたので、持ってあがりました——」
いさましい話 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
正月二日は父の忌辰きしんである。或年の除夜翌朝父の墓前に捧ぐべき蝋梅ろうばいの枝をろうとわたしは寒月皎々こうこうたる深夜の庭に立った。その時もわたしはただちにこの事を筆にする気力があった。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
カーティンをあけると、庭の蝋梅ろうばいが咲きはじめて、今日も蒼空が澄みきっていた。寝すぎたも寝すぎた、顔を洗って飯をすませると、十二時七分の電車に、半時間とは暇がなかった。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
昔後水尾帝の御代に始めて朝鮮から渡り来ったといわれる彼の蝋梅ろうばいでしたところが逸早く咲く花を着け一月には已にらき初める。中にはまだ十二月というのに早くも咲く様な株もある。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そんなのをると、もうはるたのかとおもはれます。蝋梅ろうばいはもと支那しなさんですが、はや我國わがくに移植いしよくされおほくは庭木にはきとして灌木状かんぼくじようをしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「これはこれはみごとにお手入れができましたな、これは蝋梅ろうばいでございますか」
明暗嫁問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
蝋梅ろうばいについではやはなをひらくまんさくは日本につぽんだけの山中さんちゆうに、自然しぜんえるもので、木曾きそ日光地方につこうちほうおほく、また庭木にはきとなつてゑられてゐるのもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)