トップ
>
蘭麝
>
らんじゃ
ふりがな文庫
“
蘭麝
(
らんじゃ
)” の例文
まして此の少年は、幼時から両親の側を離れて武骨な侍の間に育ち、
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
薫
(
かお
)
りなまめかしい奥御殿の生活と云うものを殆ど知らない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「造り花なら
蘭麝
(
らんじゃ
)
でも
焚
(
た
)
き込めばなるまい」これは女の申し分だ。三人が
三様
(
さんよう
)
の解釈をしたが、三様共すこぶる解しにくい。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
…………今日は誰も来ないと思ったら、イヤ
素的
(
すてき
)
な奴が来た。
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
薫
(
かお
)
りただならぬという
代物
(
しろもの
)
、オヤ小つまか。小つまが来ようとは思わなかった。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
水草も魚の影も
卒然
(
そつぜん
)
と渠の視界から消え去り、急に、
得
(
え
)
もいわれぬ
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
匂
(
にお
)
いが漂うてきた。と思うと、見慣れぬ二人の人物がこちらへ進んで来るのを渠は見た。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しばらくしてその柳の耳に
鼓
(
つづみ
)
や笙の音が聞えて来た。柳はすこし眼が醒めかけたのであった。
蘭麝
(
らんじゃ
)
の香が
四辺
(
あたり
)
に漂っているのも感じられた。柳はそっと
窺
(
のぞ
)
いてみた。
織成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
第一、あとで気がつきますとね、久しく
蔵込
(
しまいこ
)
んであって、かび臭い。
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
薫
(
かおり
)
も何にもしません。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
な
)
んだって。この
匂
(
におい
)
がかげねえッて。ふふふ。
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
にこれ
程
(
ほど
)
のいい
匂
(
におい
)
は、またとあるもんじゃねえや、
伽羅沈香
(
きゃらちんこう
)
だろうが、
蘭麝
(
らんじゃ
)
だろうが
及
(
およ
)
びもつかねえ、
勿体
(
もったい
)
ねえくれえの
名香
(
めいこう
)
だぜ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ことに姫はうつ向いたきりといってよいほど顔を斜めに
俯伏
(
うつぶ
)
せている。どうかしてその黒髪をそっと風が越えてくると、
蘭麝
(
らんじゃ
)
のかおりなのか
伽羅
(
きゃら
)
なのか範宴は
眩
(
めま
)
いを覚えそうになった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廃せられ砕かれ地に投ぜられて、もはや笏はなくなっている。ところが、
蘭麝
(
らんじゃ
)
のかおりを立てる
刺繍
(
ししゅう
)
した小さなハンカチに対して、革命をやれるならやってみるがいい。一つ見たいものだ。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
錦絵の役者振りの一種の妖気を冴え返らせたような眼鼻立ち、口元……夕闇にほのめく
蘭麝
(
らんじゃ
)
のかおり……血を見て臆せぬ今の度胸を見届けなかったならば、平馬とても女かと疑ったであろう。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
紅玉の
唇
(
くちびる
)
や
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
をどれだけ
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
暫くたってから
珮環
(
おびだま
)
の音がちりちりと近くに聞えて、
蘭麝
(
らんじゃ
)
の香をむんむんとさしながら公主が出て来た。それは十六、七の美しい女であった。王は公主に命じて竇を展拝さしていった。
蓮花公主
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
戦場に於いてさま/″\な
艱難
(
かんなん
)
を忍びますことは
武士
(
ものゝふ
)
の常でござりますから、左程骨身にはこたえませぬが、荒々しいことや凄じいことより知らぬ者が
蘭麝
(
らんじゃ
)
のかおりなまめかしい御前へ出ましては
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ぷうんと
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
薫
(
かお
)
りがする。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漂い残す
蘭麝
(
らんじゃ
)
のかおり。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
蘭
漢検準1級
部首:⾋
19画
麝
漢検1級
部首:⿅
21画
“蘭麝”で始まる語句
蘭麝待
蘭麝香