薄笑うすわら)” の例文
宗助そうすけ薄笑うすわらひをしたぎり、なんともこたへなかつた。其代そのかはして、御米およね信仰しんかういて、くはしい質問しつもんけなかつた。御米およねには、それが仕合しあはせかもれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「まあ、あなただったの?」と、彼女は薄情はくじょう薄笑うすわらいをうかべて言った。——「こっちへいらっしゃい」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
御身おみときわかひとな。』と雪枝ゆきえいて、片頬かたほゝまたくらうして薄笑うすわらひをた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、その瞬間、客間のもう一つのドアがいきなりぱっと開いて、敷居しきいの上に姿を現わしたのは、昨日庭で見かけたあのむすめだった。彼女は片手を上げたが、その顔にはちらりと薄笑うすわらいが浮んだ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
平岡は嘵舌しやべつてるうち、自然と此比喩につかつて、大いなる味方を得た様な心持がしたので、其所そこで得意に一段落をつけた。代助は仕方しかたなしに薄笑うすわらひをした。すると平岡はすぐあと附加つけくはへた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ジナイーダは、冷たい一瞥いちべつを彼に投げると、冷やかな薄笑うすわらいをらした。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)