薄目うすめ)” の例文
きつい語調が、乳母のつるの語調に、そっくりだったので、私は薄目うすめあけて枕もとの少女をそっと見上げた。きちんと坐っていた。
新樹の言葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
千穂子は今は一日が長くて、住みづらかった。しゅうとめぜんをつくっておくへ持って行くと、姑のまつは薄目うすめを明けたままねむっていた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
玄鶴はやはり蒲団ふとんの側の褌のことを考えながら、薄目うすめに甲野を見守っていた。すると——急に可笑おかしさを感じた。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
浴槽ゆぶねの一たん後腦こうなうのせて一たん爪先つまさきかけて、ふわりとうかべてつぶる。とき薄目うすめあけ天井際てんじやうぎは光線窓あかりまどる。みどりきらめくきり半分はんぶんと、蒼々さう/\無際限むさいげん大空おほぞらえる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
戸倉老人が、このとき薄目うすめをあいた。そして牛丸少年の顔を、さぐるようにそっと見た。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
薄目うすめしろひとうかゞふやうでした。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へえそうかネ——じゃありませんわ。あのとき自動車の中であたくしは薄目うすめ
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)