落溜おちたま)” の例文
与吉はとみこうみて、肩のあたり、胸のあたり、ひざの上、ひざまずいてる足のあいだ落溜おちたまった、うずたかい、木屑の積ったのを、樟の血でないかと思ってゾッとした。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
與吉よきちはとみかうみて、かたのあたり、むねのあたり、ひざうへひざまづいてるあしあひだ落溜おちたまつた、うづたかい、木屑きくづつもつたのを、くすのきでないかとおもつてゾツとした。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
時々爪尖つまさきからまるのは葉のしずく落溜おちたまった糸のようなながれで、これは枝を打って高い処を走るので。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時々とき/″\爪尖つまさきからまるのはしづく落溜おちたまつたいとのやうなながれで、これはえだつてたかところはしるので。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
只管ひたすら人懐ひとなつかしさに、進んで、喜んで朝から出掛ける……一頃ひところ皆無かいむだつた旅客りょかくが急に立籠たてこんだ時分はもとより、今夜なども落溜おちたまつたやうに方々から吹寄ふきよせる客が十人の上もあらう。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)