花圃はなばたけ)” の例文
鴫野しぎの花圃はなばたけか、牡丹ぼたん園へ行った戻りでもあろうかと見える、派手な町かごが五、六挺、駕の屋根へ、芍薬しゃくやくの花をみやげに乗せて通り過ぎる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分はこんな景色でなければ楽しいとは思えぬ。要するに宗近と自分とは檜山ひのきやま花圃はなばたけちがいで、本来からしょうが合わぬから妙な感じがするに違ない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翌日よくじつあめがはれ、かぜむと、せみは花圃はなばたけほうへこちょうのようすをようとんでいきました。そのとき、ちょうどかれは、こちょうにあいました。
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてそれを沢山の花圃はなばたけや植木にそそがなければならなかった。その頃かかっていた病身な出戻りの姉娘の連れていた二人の子供の世話も、朝晩に為なければならなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
またのぼり少しくだりて御花圃はなばたけといふ所、山桜さかりにひらき、百合・桔梗・石竹の花などそのさま人のうゑやしなひしにたり。をしらざる異草いさうもあまたあり、案内者に問へば薬草なりといへり。
「あんなたよりのない花圃はなばたけなんですか、今夜こんや大風おおかぜをどうして、あんなところでふせぐことができますか。」と、せみはあきれたようなかおつきをしていいました。
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またのぼり少しくだりて御花圃はなばたけといふ所、山桜さかりにひらき、百合・桔梗・石竹の花などそのさま人のうゑやしなひしにたり。をしらざる異草いさうもあまたあり、案内者に問へば薬草なりといへり。
花圃はなばたけかれたものも発芽や発育が充分でなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あちらには、くろいこんもりとしたおおきなえ、こちらには、きれいなはなのたくさんいている花圃はなばたけえました。二人ふたりは、わかれなければなりませんでした。
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)