船尾せんび)” の例文
本船ほんせんより射出しやしゆつする船燈せんとうひかりでチラとみとめたのはその船尾せんびしるされてあつた「海蛇丸かいだまる」の三、「海蛇丸かいだまる」とはたしかにかのふね名稱めいしやうである。
その時は、運転士と水夫長が、船首で錨をあつかい、船長の私は、船尾せんび甲板で、指揮をしていた。帆船には、船橋はない。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
船尾せんびをしらべていたグロースがさけんだ。一同は走りよった。なるほど、そこにはうすくきえかかった数個の文字があった、ドノバンが読みあげた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
船尾せんびの方はずっと島の近くの暗礁あんしょうの上にのって居り、船首の方はそれから百メートルほどはなれたところに、船首のほんの先っちょと、メイン・マストを波の上に出していた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
軍艦ぐんかん」の甲板かんぱんでは、後部艦橋こうぶかんけうのほとりより軍艦旗ぐんかんきひるがへ船尾せんびいたるまで、おほくの乘組のりくみは、れつたゞして、わが端艇たんてい歸艦きかんむかへてる。
一ヵ月後にサクラ号としるした船尾せんびの板が、ある海岸に漂着ひょうちゃくしたので、父兄たちはもう捜索の絶望ぜつぼうを感じた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
やが船尾せんびかたると、此處こゝ人影ひとかげまれで、すで洗淨せんじようをはつて、幾分いくぶん水氣すゐきびて甲板かんぱんうへには、つきひかり一段いちだん冴渡さへわたつてる。