胡人こじん)” の例文
胡人こじんかわぐつのごとくなる者蹙縮然しゅくしゅくぜんたり(五) 犎牛ほうぎゅうむねなる者廉襜然れんせんぜんたり(六) 浮雲の山をいずる者輸菌然たり(七) 軽飈けいえんの水を
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
その後に彼は城中の町へゆくと、胡人こじんの商人に逢った。商人はその頭にたまのあることを知って、人をもって彼を誘い出させた。
立政は、衛律えいりつをもって完全に胡人こじんになり切ったものと見做みなして——事実それに違いなかったが——その前では明らさまに陵に説くのをはばかった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
野獣か、鬼母か、われこれを知らず。西人せいじんあるいは帝胡人こじんの殺すところとなると為す。しからばすなわち帝丘福きゅうふくとがめて、而して福とその死を同じゅうする也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
天山テンシャン山脈を越えて支那地方に入り込んで来たもので、所謂いわゆる胡人こじんと称せられているものの血が加わっていたものが、現代に於てこの少年の骨相上に復活したものではあるまいか……という事が
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その父は胡人こじんだが、ゆえあって衛律は漢の都で生まれ成長した。武帝に仕えていたのだが、先年協律都尉きょうりつとい李延年りえんねんの事にするのをおそれて、げて匈奴きょうどしたのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
白鉄余はくてつよ延州えんしゅう胡人こじん西域せいいきの人)である。彼は邪道をもって諸人を惑わしていたが、深山の柏の樹の下にあかがねの仏像を埋め、その後数年、そこに草が生えたのを見すまして、土地の人びとをあざむいた。
利を好み人をねたむこと、漢人と胡人こじんといずれかはなはだしき? 色にふけり財をむさぼること、またいずれかはなはだしき? うわべをぎ去れば畢竟ひっきょうなんらの違いはないはず。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)