肩章けんしょう)” の例文
みっともないほどのアバタづらで、アラビア人みたいに髪の毛が縮れて、猫背ねこぜで、がにまたで、肩章けんしょうのない軍服を着て、胸のボタンをはずしている。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
やっぱり、まん中のは、大将の軍服で、小さいながら勲章くんしょうも六つばかりげています。両わきの小猿は、あまり小さいので、肩章けんしょうがよくわかりませんでした。
さるのこしかけ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この席のとがった頂きには、騎士たちの兜と前立がつけてあり、肩章けんしょうと剣もそえてあった。
コトコトと足音あしおとがして、軍曹の肩章けんしょうのある下士官が、少尉の側にピタリと身体を寄せた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
参謀の肩章けんしょうをつけた、赤ら顔の相当な年輩の幕僚長ばくりょうちょう、参謀将校が三人、白い背広を着た技師長、それに意外にも脚と、頭に繃帯ほうたいをした支那人の趙が机を囲んでソファに掛けている。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
モスクワへってから、ミハイル、アウエリヤヌイチは肩章けんしょう軍服ぐんぷくに、赤線あかすじはいったズボンを穿いてまちあるくにも、軍帽ぐんぼうかぶり、軍人ぐんじん外套がいとうた。兵卒へいそつかれ敬礼けいれいをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
陸軍用の車からは、中佐ちゅうさ肩章けんしょうをつけた、背の高い、やせ型の、青白い顔の将校が出て来たが、しばらく突っ立って、すこしそり身になりながら、玄関前の景色を一わたり見まわした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
兵士は病兵の顔と四方あたりのさまとを見まわしたが、今度は肩章けんしょう仔細しさいに検した。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そういって古藤も肩章けんしょう越しに岡を顧みた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)