罷越まかりこし)” の例文
遺恨ゐこんに思ひ音信不通ふつうに仕つり其上に昌次郎夫婦をかねねらひ候と相見え柏原と申す所へ夫婦ふうふ罷越まかりこし候跡より付行日ぐれをはかり兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いづれも最早や埒明らちあき候へば暇乞ひして在所へ罷越まかりこし候にや。それがしかの娘の姿を今一眼見んとて所々を捜し候へども遂に見ることかなはず、そのまゝになり候。
火急一筆のこと、牧仲儀、今暁錦地へ罷越まかりこし候が、不逞浪人輩三五、警固の体に被見受みうけられ候に就者ついては、油断被為なされ間敷、船行、伏見に上陸と被存ぞんぜられ候間、以飛脚ひきゃくをもって此旨申進候。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
そこでとうとう対抗上『近来浪人体ノ者所々ヘ大勢罷越まかりこし、村方ノ手ニ難及およびがたく、会難儀候段相聞候』
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それがしは当時退隠たいいん相願い、隈本くまもとを引払い、当地へ罷越まかりこし候えども、六丸殿の御事おんこと心にかり、せめては御元服げんぷく遊ばされ候まで、よそながら御安泰を祈念きねん致したく、不識不知しらずしらずあまたの幾月を相過あいすごし候。
書記かきしるし南町奉行所へ立歸り大岡殿へ申立ければ早速さつそく召捕めしとるべき旨申渡されしにより同心二人すぐに橋本町へ立越たちこえところ彦兵衞は他行たぎやういたし淺草へ罷越まかりこしたる由ゆゑ途中に待受しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「六日。雪。文礼子青森へ御用に罷越まかりこし、帰路一泊。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
呼近づけ申樣は此度聖護院せいごゐんみや配下はいか天一坊樣當表へ御出張に付御旅館取調とりしらべの爲に拙寺が罷越まかりこし候なり不案内の事ゆえ萬端ばんたんもとをおたのみ申なりとて手箱のうちより用意の金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)