素人目しろうとめ)” の例文
と、山商人に引っ張りまわされて克明に視て歩いたところで、一山から炭薪が何石とれるか、素人目しろうとめでは見当もつかなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実際、あの鎖があっては、皮を剥きにかかる時に、どのくらい邪魔になるかということは、素人目しろうとめにも想像されることです。
見ると少しく沈欝ちんうつしたようすはしているが、これが恐るべき牛疫とは素人目しろうとめには教えられなければわからぬくらいである。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
素人目しろうとめにはわが大学の安田講堂やすだこうどうよりもかえって格好がいいように思われる。デテイルがないだけに全体の輪郭だけに意匠が集注されるためかもしれない。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
素人目しろうとめにも、こののぼり十五ちやう、五十六まがり十六けいまをして岩端いはばな山口やまぐち処々ところ/″\、いづれもかはる/″\、みづうみ景色けしきかはりますうちにも、こゝは一だんぞんじました。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なるほど素人目しろうとめにも、この二三日の容体はさすがに気遣きづかわれたのであるが、日ごろ腎臓病なるものは必ず全治するものと妄信していたお光の、このゆゆしげな医者の言い草に
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
しかしながら小生の如き素人目しろうとめより見候へば、三段の並べかたも勿論面白く候へども、さりとてことごとく同じやうな配置法を取り候ては変化に乏しく多くの写真を見もて行くほどに
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
まあ素人目しろうとめで眺めたところでは格別気息いきの切れるでも無いらしい。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見ていれば、それが格に合うか、合わないか、大概の素人目しろうとめにもわかりそうなものじゃないか、もう一幕辛抱しんぼうし給え……
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あの時虚無僧の構えた尺八には、充分な自信とみがきぬいた腕のえが、素人目しろうとめにも分るほど光っていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小さなブーメラング形の翼の胚芽はいがの代わりにもう日本語で羽根と名のつけられる程度のものが発生している。しかしまだ雌雄の区別が素人目しろうとめにはどうも判然としない。
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
素人目しろうとめで見て、これをこのままあの観音へ納額してみたらば、さだめて異彩を放つであろうと思うのも無理がない——こういった絵を納めてみたいと願うのは
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
三人のプレイが素人目しろうとめに見てもそれぞれちゃんとはっきりした特徴があって面白い。クラブと球との衝撃によって生ずる音の音色まで人々で違うような気がするのである。
ゴルフ随行記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ようやく疲れかかったカルネラの頽勢たいせい素人目しろうとめにもはっきり見られるようになった。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)